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「…なに…」

見られていることに気付き、ちらりと太陽に目線をやると、目の前に太陽に顔があった。

う、わ…

どくん、と胸が高鳴ると同時に、アキラの唇に太陽の唇がそっと重なった。優しく、触れるだけのキス。太陽はアキラの体に触れるか触れないか、というところで手をさまよわせている。

…抱きしめたかったら、抱きしめりゃいいのに…

キスを受け入れながら、アキラはそんなことを考えた。
太陽が、そっと離れる。それをちょっとさみしく感じた。



…って、何考えてんだ、俺!!乙女か!



「…っ、早くいくぞ!」

自分の思わぬ思考に、顔に熱が集まるのが分かった。赤い顔を見られたくなくて、ぷいと下を向き太陽の横をすり抜ける。

「ま、まって!」

先に進もうとしたアキラを太陽が肩を掴み、引き止める。

「な、なに…」

ドキドキしながら、太陽に向き直る。太陽も顔が赤い。でも、なんだか眉が下がってる…



「…俺たち、恋人同士、になったんだよ、ね…?」
「………っ!!!」



太陽の言葉に、ぶわっと一層熱が集まり、一気に顔がさらに赤くなる。


「…っ、バカっ!!」
「えっ、えっ?あ、あっくん!?」


太陽がとたんにおろおろと挙動不審になる。


「知らないっ!知らねえからっ!もう先に行く!」
「えっ?まっ、待ってよ!ご、ごめんなさい!あっくん!あっくんてばあ!」


…またあっくんに戻ってるし!
ぴたりと足を止め、走って追いかけてくる太陽にくるりと顔を向ける。


「恋人じゃなかったら、何だってんだよっ!」


そう吐き捨てると、またくるりと前を向いてすたすたと歩き出した。


「あっくん…い、いや、アキラ!待って!」

太陽はだっと駆け出し、アキラを捕まえ後ろから抱きしめた。

「一緒に、いこ。」

ちらり、と目だけで太陽の方を見る。…真っ赤な顔で、見たことないほど幸せそうに笑ってる。アキラはその笑顔にドキドキと胸が高鳴るのがわかった。

「…歩きにくいだろ。せめて並んで歩け。」

同じく真っ赤な顔でぷい、とそっぽを向きながら言うと、太陽は軽く頬にキスをして並んでアキラの手を取った。

「…えへへ。がっこまで、ね?」
「…しょうがねえな」

赤くなったアキラの顔は、教室に着くまで熱が引くことがなかった。


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