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野々宮真尋

「―――――いいの?」


崎田は自分の目の前にいる男を挑発的に睨みつけながら問う。目の前の男は崎田に背を向けたまま、一枚の写真を見ていた。



「僕は諦めてないから。例えあんたの協力がなくたって…」
「いいとは言ってないさ」


崎田の言葉を遮り、ひどく冷たい声で言い放つ。その声に崎田はびくりと体を竦ませた。

「…っ、大体、あんたがちんたらしてるから悪いんだからね?今度こそちゃんとしてよ?
――――唐津を薬師寺君から引き離してよね。」


崎田はさっと踵を返し、部屋から退室した。残された男は一人口元に冷たい笑みを浮かべる。


「…薬師寺、太陽…」


男は先ほどから見ていた写真を引き裂く。机に置かれたそれは、太陽とアキラの二人の写真。二人を引き裂くように、真っ二つに破られていた。


「あっく〜…じゃなくて、アキラ〜!」

翌日の朝、登校しようと部屋を出たところで太陽がにこにこと笑いながら駆け寄ってきた。

「おはよう、太陽。」
「おはよ!あの、あのさ、一緒に学校行こうよ!ね?ね?」

昨日、告白を受け入れてから太陽は以前にもましてアキラに引っ付きまわった。『泊まる』とうるさい太陽を、何とかなだめて自分の部屋に帰したのだが部屋を出てから太陽が自分の部屋に着くまで一分置きに
『今は二階の階段で〜す』だの、
『部屋の前に着いたよ〜』だの、細かく状況をメールでいちいち報告してきた。
とどめに、

『お休み、愛してる』

とメールが来たときにはひとり部屋の中で真っ赤になって思わず携帯を強く胸に抱きしめていた。そこでアキラは初めて『俺なにしてんの!?』と自分の行為を振り返り、また真っ赤になって布団にもぐりこんだ。


昨日の自分の事を思い出して、顔を赤くする。そんなアキラを、太陽がじっと見つめる。

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