天狗様 | ナノ
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「うっそなにそれ!?羨ましすぎだし…!もっと詳しく聞かせるしーおにー!」
「わかったから落ち着けって…耳痛い…」
「落ち着いてられるわけないし!なんなのおに、もしかしてあんたもトリコのこと狙ってたの!?」
「んなわけねえだろ。リンがトリコさんのこと好きなの見え見えだし、まずそういう対象として見てねえよ」
「ふーん…でもあやしいし……まずさあ、おにってどんな人がタイプなんだし?」
「……タイプねえ……少なくとも四天王の皆さんは違うな」
「そうなの!?あんなに仲良しなのに!?」
「人としては好きだけど、ココさんは気持ち悪いしサニーさんはウザいしゼブラさんは自己中だし付き合ったら絶対身が持たねえ」
「うわあ、言い切ったし…」
「優しくて気が利いて、あと料理上手な人がいいな。もしくは癒し系とか」
「癒し系ねえ……ねね、料理の腕は知らないけど、お兄ちゃんとかどうだし?ちょっとひねくれてるけどほんとは優しいし、美に関しては気が利くし、ペットも連れてて癒されると思うし!」
「ぜ っ た い や だ」
「うっ、なんて清々しい笑み…あーん、これじゃあトリコとデート出来ないし…」
「だいたい、なんで同性メインで話してんだよ……え?いまなんつった?」
「あっ、」











「……だそうだ」
「はあああああん!?ざけんなし!ココやゼブラはともかく、んで俺まで…リンのやつちゃんと働けし!」
「おにくんが…おにくんが僕のこと、気持ち悪いって…」
「なんでちょっと嬉しそうなんだよマジでキモいぞココ……つか、サニーとかはまだマシだろ!俺なんかはっきり眼中にない宣言されたんだぞ!?」
「んなもん最初から分かりきってたことだろが。にしてもあいつ、俺が自己中だァ?確実にチョーシ乗ってやがんな」
「俺ほど優しくて気の利く男がいるはずなくね?あいつ見る目無さすぎだし!」
「馬鹿だなサニー、君なんかよりもはるかに優しくて気が利いてなおかつ癒し系の僕に敵うと思ってるのかい?」
「ああ!?毒は黙ってろキショイ!」
「まともに料理してから言えよお前ら。どうせ丸焼きとか丸揚げとかしかできねえくせに」
「そう言うお前は出来んのかァ?トリコ」
「はっ、なめんなよ。俺にはあいつの大好きなスイーツハウスがある!」
「料理でもなんでもねえし!」
「……ちょっと待って、もしかして…」
「なんだ、なんか閃いたのか?」
「優しくて、気が利いて、料理が上手で、癒し系……一人だけ、思い浮かばないか?」
「「「!」」」
「……そうか、おにくんはやっぱり小松くんが…すまないちょっと用事が出来た。あとは三人でわちゃわちゃしててくれ」
「んだよわちゃわちゃって!つか奇遇だなココ、俺も今ちょうど野暮用が出来たし」
「ほォ?なんだテメェらもか。胸糞悪ィが目的が同じなら同行してやらねえこともねえぞ」
「待て待て待てお前ら!俺のコンビに何するつもりだ!せめておにと会わねえようにするだけにしろよな!」

「これはこれは皆さんお揃いで。どこ行くつもりなんですか?」

「え、」
「俺もご一緒したいなあ、なーんて」
「おにくん、どうしてここに…もしかしなくても僕の気配を察知してくれたんだね!?」
「なに変な勘違いしてんだか知りませんけど、小松シェフの所へは行かせませんから」
「な、なんの話かわかんねえし…つかリン!お前何やってんだよ!」
「ごめんだしーお兄ちゃーん!全部バレちゃったし!」
「ちっ、結局失敗かよ……おい鬼小僧。散々人のこと好き放題言いやがって…覚悟できてんだろうなァ?」
「リンのこと使ってまで盗み聞きしてたあんたに言われたくないですよ」
「それよりずっと思ってたんだけどよォ、リンだけ呼び捨てため口とかせこくねえか?俺のこともトリコって呼んでいいんだぜ?おに」
「なっ、ズルいぞトリコ!おにくん、僕のことも呼び捨てで構わないからね!さん付けもなかなか捨てがたいけどもっとフレンドリーに接してくれても…ああでもココさんココさんって敬うおにくんも好きだし……ダメだ決められない!どうしようおにくん!」
「知るか。とにかく、小松シェフはなんにも関係ないんで余計なことしないこと。それとトリコさんはリンと一日デートしてあげること」
「はあ!?なんで俺だけオプションつき!?」
「うきゃーやったしー!!さっすがおにだし、ありがとー!」
「あっ、おまっ、抱き着くならトリコにしろコラァ!リン!」
「あの小娘、それ目的で全部バラしやがったな…」
「だってお兄ちゃんよりおにに取り付けてもらった方が確実だし?」

「……そういうことなんで、もう余計な探索しないでくださいね。すっげえ面倒くさい」









鬼の好きなタイプ










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