ほわいとでー | ナノ
乱、終結

前世でいうところのホワイトデー(という名の謎の告白イベ)から一夜明けた今日。そういや先月秀吉と話してた時あいつなんな企んでたな〜こういうことだったんだな〜と思いながら廊下を歩く。チョコを餌にして、それで本当に戦に勝っちまうんだもんなあ…だがしかし、たとえ勝つためとはいえ人の気持ちを弄ぶような真似をするのはいかがなものかと思ったので、少し痛い目にあってもらおうと思う。あと協力者からの強い願い出であることがほぼ大きな要因になったのである。

というわけで秀吉、覚悟!




「おはようございます、秀吉様」
「お〜、おはようさんからす!昨日は楽しめたかのう?」
「はて、一体なんの話でしょうか」
「惚けんな惚けんな!心配せんでも吹聴したりせん。で、どうやったんさ」
「……秀吉様、単刀直入に申しましょう」
「うん?」
「南蛮の使者から受け取ったちよこれいと、一つではありませんね?」
「なっ、お前さん、どうしてそれを…!」
「他のちよこれいとは誰に渡したんです?」
「そ、それはじゃのう、もも、もちろん愛するねねに…」


「お〜ま〜え〜さ〜ま〜〜〜!!あたしにはひとっっつも届いてないよ!」
「ねねっ!?」
「一体全体どこの誰に渡したの!?正直に話すまでお仕置きだよ!!」
「ちっ、違うんじゃねね!これには深〜〜いわけが…からす!助けてくれえ!」
「残念ですが秀吉様、おねね様を呼んでいたのは私です」
「なんじゃと!?裏切ったなからす!」
「からすはお前様と違っていい子なんだから当然でしょ!あっ、待ちなさいお前様ー!!」



…ぶっちゃけ実際秀吉が他にもチョコを貰ってた現場を確認したわけではないが、女好きである性格を考えればまあ有り得るんじゃねえかと鎌をかけてみたところ見事的中した。さすが俺だぜ。事前におねね様にもそれとなく聞いてみたら貰ってないって言ってたし上手くいったようだ。しっかり反省しろよ秀吉〜。

(さて、あとはあいつだな…)

ただお返しとしてチョコを贈られただけなら素直に喜べたのに、よりにもよってそういう意味で好かれていたとは。知りたくなかった新事実である。いや、なんというか、迷惑って訳ではないんだが、予想外すぎて理解が追い付いてないというか。結局あのあともなあなあにして離れたし、何一つ解決してない。そんな状態でどんな顔して会えばいいのやら。

きっと俺は毎年この日が来たら、触れた唇の熱と、乞うように俺を見る濡れた目を、必ず思い出してしまうのだろう。とんだホワイトデーだなと苦笑いした。






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