クリスマス2018 | ナノ
たかとらサンタ@からす


前世でいうところの聖なる夜。飯屋で食事後厠へ行った高虎を席で待っていた俺の前に現れたのは…




「待たせたな、高虎サンタだ」
「………夢…だな、そうだな。オーケーオーケーどうした高虎」
「馬鹿野郎!高虎サンタと呼べなまえ」
「めんどくせえなお前…あと死ぬほど赤似合ってねえなクソワロ」
「心配要らんぞ。赤になろうと俺の手ぬぐいは今日もよく映えている」
「全身真っ赤だから映えるもクソもないんですがそれは…それで高虎サンタさんよ、サンタだと宣うからにはプレゼント用意してくれてんだろうな?」
「もちろんだ。お前は今年も一年間いい子にしていたからな、素敵なプレゼントを用意した」
「めっちゃノリノリじゃんお前。まあお前からのプレゼントとか考えなくてもお察しなんだけどな。どうせ手ぬぐいか饅頭だろ」
「どうせとはなんだどうせとは。それにどちらも違う」
「へ?じゃあ餅?」
「違う」
「嘘だろ…お前、嘘だろ、それ以外になにを用意したっていうんだお前…まったくわかんねえ…!」
「お前は俺をなんだと思っているのだ」
「手ぬぐいオバケもしくは饅頭の妖精…?」
「高虎サンタだ馬鹿野郎!」
「めんっどくせえなお前」
「お前へのプレゼントは他でもない、この俺だ」
「……………え、ど、ドヤ顔しとる…聞き間違いか…?今とんでもねえ答えが返ってきた気が」
「プレゼントは、この、俺だと言った」
「なにそれどういうこと今後高虎を下僕のようにこき使ってもいいよとかそういう…?」
「なぜそうなる?お前は本当に鈍いやつだな…体はもちろん、心もくれてやると言ってるんだ」
「……そういう意味で?」
「そういう意味で」
「断る断るちょー断る俺×高虎とか誰得だよ俺は歴としたノンケなんです女の子が好きなんですこっちの時代ではBLとか当たり前なんだろうけど俺は断じてそんな気起こさねえぞ分かったら帰れ高虎サンタ」
「……お前、何を勘違いしてるんだ?」
「え?か、勘違い…そうか、そうだよなあいくらなんでも俺とお前が付き合うなんてそんなバカなこと」
「なまえ×俺ではなく俺×なまえだ。まあ、お前がどうしてもと言うなら逆にしてやっても構わんが…」
「……だから、お前、」









「ソッチ系じゃねえっつってんだろ馬鹿野郎!ってうわああ!?」
「………」
「なになになになに何してんのお前!」
「…別になにもしていない」
「じゃあ離れて!距離開けて!怖い!」

やっぱり夢だった高虎サンタにおもくそツッコミを入れながら目が覚めた俺ではあるが視界に広がるドアップの高虎の顔面にまた驚いた。何こいつなんでこんな至近距離で人の顔面ガン見してんの!?さっき見た夢の内容があれだったから余計怖いんだけど!?慌てて体を押し距離を開ける。いつの間に帰ってきやがったんだ普通に起こせやビビるやろが…。

「腹が膨れたら眠くなるとは、まだまだ子どもだな」
「うるせえなあ…俺だっていつ眠ったのか記憶にねえし…」
「そんなに疲れていたのか?すまんな、そうとも知らずに連れ出してしまって」
「や、大丈夫大丈夫。今日の店も超美味かったし」

むしろありがとなと笑った。魚料理が特に美味しかったなご飯が進む進む。おかげですっかり満腹だ。最後になにか甘味でも食べてお開きにするか。

「…馬鹿野郎、と叫んでいたが」
「あ、あー、うん、ちょっととんでもねえ夢見ちまって…つーかお前の口癖移ったんだけどどうしてくれんだよ。思わず口ついて出てきたわ」
「…そうか、俺の口癖が…」

なんか嬉しそうな高虎に首をかしげた。言っとくけど別に良い口癖ってわけじゃねえぞ馬鹿野郎って。むしろ暴言だからな。

しかし、いくら聖夜とはいえまさかサンタコスの高虎が夢に出てくるとは。ほんと笑っちまうくらい赤似合ってなかったな。今だって青を基調とした着物を着ているから余計そう感じる。

「やっぱお前と言えば青色だよなあ」
「なんだ、急にどうした?」
「んー、さっきの夢でお前真っ赤な格好してたからさ。違和感すごすぎて笑っちまったもん」
「!」
「まああくまで夢だから気にすんな。それよりなにか甘味……なんだよその顔」
「……俺が、夢に出てきたのか?」
「おう。それがどうした?」
「……お前は本当に鈍いやつだな」
「げっ、それ夢の中でも言われた」
「ふ、夢の中の俺も相当苦労しているらしい」
「???」

…なんか勝手に自己完結された。よくわかんねえけど、現実のお前までサンタになったりプレゼントは俺だよ(はぁと)みたいなことはすんなよ。もしやったらからすでフルボッコの刑な。

「いつか直接伝えるから、それまで楽しみにしておけ、なまえ」