クリスマス2018 | ナノ
みつなりサンタ@からす


前世でいうところの聖なる夜。そろそろ三成が起こしにくるんだろうなあとうとうと目を覚まし始めた俺の前に現れたのは…




「起きろなまえ。プレゼントを持ってきてやったぞ」
「……えええええええええ嘘でしょ三成が横文字使ってるしサンタコスしてるううううううう…絶対夢じゃんこれ…」
「何を寝ぼけている。はっきりと見えているこの姿が夢幻だと言うのか?」
「いやそりゃまあリアルですけど〜…つーかその衣装見たことあんな…オロチかなにかの特別衣装じゃなかったっけそれ…」
「ぶつぶつと意味のわからんことを…いいか?そのすっからかんの頭でも理解できるように説明してやる。俺の裏の姿は、年に一度の聖夜の日に現れるサンタクロースなのだよ」
「え、いや、あの、ん?いくら夢でも言っていいことと悪いことがあるぞ三成。世の善良なサンタさんに謝れ」
「そして俺の役目は、その者が一番望むものをプレゼントとして届けることだ」
「うわめっちゃ無視された辛い」 
「ということはだ…俺が何を用意したか、分かるな?」
「ああそう意地でもサンタってことで押し通すんだな了解了解…一番望むものだろ?何不自由ない一人きりの時間もしくは何やらかしても暴言暴力が飛んでこない権力だな」
「それだからお前はクズなのだよ」
「このサンタ口悪いやだあ」
「正解は…デレ5割増しの俺だよかったな望みが叶ったではないか喜べなまえ」
「ままままって早口すぎて何言ってっか分かんなかったんだけどなんて?なんで抱きついてんの?」
「常日頃からぶつくさ申していたもう少しデレてくれればいいのにという生意気な愚痴を汲み取ってやったのだ感謝せよ」
「その結果がこれ!?いいよそんなもんむしろ急にデレられても後が怖いわその気持ちだけで十分だから離れろ三成!」
「ふざけるなこれ以上の譲歩などせぬ諦めろ」
「嫌だそりゃまあもう少しデレ欲しいけどこんな投げやりなデレなんか倍返しが怖すぎて素直に受け取れねえ!」
「なっ、投げやりとは無礼な…これでも、俺なりに精一杯、考えたんだぞ…なまえ、兄さん…」
「佐吉きゅんモードで誤魔化そうとするな余計怖い!いいからとりあえず離せみつな…おい三成!三成ってば…!」










「そりゃあの頃のお前は可愛かったけども!!」
「!」
「はっ!?」

バッと布団から飛び起きた。やはり夢であったがそれ以上にビックリしたのはそばに片足を振り上げた三成がいたことである。お前確実にまた俺の腹踏みつけようとしてただろ!舌打ちしてんじゃねーぞ聞こえてんぞテメエ!さっきの無駄にデレようとする三成も怖かったがこっちもこっちで大概だな!

「よ、よう、おはよう三成」
「ふん、俺が起こすよりも早くに起きるとはいい心がけだな」
「そのわりには不服そうだなオイ…」
「気のせいだ。それより…ふ…支度をしろ、やるぞ」
「おう…?」

時期が時期だけにまだまだ日も昇っておらず部屋の中も薄暗い。それでも三成が欠伸をしたことも少しだけ眠そうな顔をしていることにも気付いた。なんだ珍しい。いつもは全然眠くないですって顔して押し入ってくるくせに。

そういえば俺が寝る前も三成の部屋は明るかった気がする。まさか遅くまで仕事してた感じ?

「…なあ、お前寝た?」
「………」
「三成」
「……思っていたよりも作業に時間がかかってしまっただけだ。一日ぐらい眠らずとも人間は死なぬ」
「は?お前寝てねえの?」

徹夜かよ若いっていいな…じゃねえやその状態で練習なんか出来るわけねえだろ何考えてんだこいつ。

「…今日は練習休み」
「なに?」
「そんな状態で練習したって俺の方が上手だぞ多分。それに落馬して怪我でもされたら俺が怒られるし。寝ろ、三成」
「…眠くなどない」
「みーつーなーり」
「………」
「人間いくら徹夜して平気でもなあ、睡眠はマジで大事なんだから。早く部屋帰って寝ろ。な?」

よし、黙り出した。もう一押しだ。さっさと寝るのだ三成よ。そう念じながら三成を見つめていたらやっとその体が動いた。だがしかし何故だろう。三成は部屋から出るどころか俺の布団に潜り込んできた。アレエ?

「……えーーーっと…三成?三成さあん?」
「そこまで言うなら仕方があるまい…眠ってやる」
「なんで偉そう?」
「いいか、貴様の指図を受けるのは…今日、だけだからな…」

目を擦りながらそう言う三成はもう寝る気満々である。いやいいんだけど、あの、自室戻ってほしかったんですけど…まあいいか。寒いからちょうどいい湯たんぽ代わりだ。

そのまま自然と抱き付いてきたので、これじゃあまんまさっき見た夢と同じじゃねえかと苦笑いした。多分もう寝惚けてんだろうなこいつ。じゃないとこんな密着あり得ねえわ。

「ん…おやすみ…なまえ、兄さん…」
「…おー、おやすみ佐吉」

たまにはこんな日も悪くねえかと抱き付く三成を包むように抱きしめて俺も目を閉じた。久々にゆっくり眠れそうだ。まあその後普通に俺より先に起きた三成に蹴り起こされたんですけどね。ほんと解せぬ。