天下の色男決定戦


(ほぼ会話文)
(孫市と実況してるだけ)
(カオスオブカオス)






「さあて!真田兄弟が見事第一関門を突破したところで特別解説者の登場だぜ。秀吉の懐刀とも名高い武人、からすだ!」
「どうもですからすです頑張りま〜すよろしくお願いしま〜す」
「さらっと来たねえ。けど、そのノリ嫌いじゃないぜ。どうよからす、イケメン真田兄弟がさっそく一歩抜きん出てきたが?」
「そうですね。幸村殿の持ち前の武が光ったと見るべきか、ブラk…弟馬鹿の信之殿の全力補助がいい味を出していたと見るべきか…まあ、この顔ぶれからすればあそこの二人が突出するのも納得ではないでしょうか」
「ほう、色男たるもの武力は必須条件ってことか」
「ですね」


「聞いたか幸村!あのからす殿も、お前が一番色男に相応しいと…そう仰っているぞ」
「なんと!それは真ですか兄う」
「それは聞き捨てならんな信之!まだ第一関門が終わっただけだその程度で図に乗るな勝負はまだ始まったばかりだそうだろう左近!」
「その通りです殿!いやあこんなにも必死な殿を見れる日が来るとは、左近は幸せ者ですよ」
「そのわりには今にも腹を抱えて笑い出しそうな顔をしているぞ左近。そして三成、たとえお前相手と言えどこれだけは譲れぬ…天下の色男は、幸村ただ一人だ!」



「……やっぱあいつ死ぬほど幸村馬鹿ですねウケる」
「そう言ってやるなよ、弟が可愛くて仕方ない気持ちはお前も分かるだろ?っと、ここで第二関門だ!技能自慢!」
「おや、ここは政宗殿と小十郎殿がいい連携を見せてますね。さすがは長年支え支えられてきた主従組と言ったところでしょうか」
「だな。小十郎が怒濤の攻めで連打を量産している間に政宗が景虎を撃破!第二関門は文句なし、伊達主従の完全勝利だ」
「まるで大将の首をとったように大はしゃぎしてる政宗殿がめちゃくちゃ可愛いですね」


「馬鹿め!この程度の試練など、わしにかかれば造作もないぞ孫市!からす!」
「さすがでございます政宗様。あとは残りすべての試練を滞りなく制覇すれば、我らの狙いであるからす様も…」
「おい!なんだその話は!貴様らの狙いはこのくだらん戦の勝利などではなくからす殿だと言うのか!?あの男は豊臣のものだ!勝手は許さん!」
「まあまあ落ち着いてください殿、残りの試練を俺たちがものにすればいいだけですよ」
「ふん、狐が遠くで吠えておるわ。行くぞ小十郎!このまま我らが勝利を掴む!」



「…なんか不穏な話が聞こえた気がするんですけど私の気のせいですよね?ね?」
「さてさて試練は続くぜ諸君!次は第三関門、守備力自慢だ!」
「ちょ、無視しないでください孫市殿」
「おーっとここでそれまで大人しかった半兵衛と吉継が動いたァ!策という策を次々披露しては押し寄せる敵兵を確実に仕留めていく!」
「……まあ、秀吉様直々に力を認められたあの軍師二人が手を組めばそうなるでしょうね。こんな馬鹿みたいなお遊び試練で披露するのが死ぬほど勿体無いくらいの奇跡の共演ですよ」
「若干言葉に棘を感じるが、とにもかくにも第三関門は真っ白軍師組の勝利だな」


「やっりぃー!めんどくさいのに巻き込まれたな〜って思ってたけど、誉められるのは嫌いじゃないよ」
「ふむ…これは間違いなくまた三成が拗ねてしまう流れかと」
「黙れ吉継俺は拗ねてなどいないのだよ…!」
「まさかここ二人が組んじまうとは、さすがの俺も計算外でしたよ。稀代の名軍師が揃って相手じゃねえ…」
「やだなあそんなに誉めても何も出ないよ?ってことで、そろそろ昼寝してきていい?」
「申し訳ありません半兵衛殿、俺のためにもう少しだけお力添えを願いたいのですが…」



「吉継殿がさらっと鬼畜発言してますねこわぁい」
「ここまで三成左近組が大人しいのが意外だな。次で挽回なるか?第四関門、援護力自慢!」
「義昭殿を護衛する試練ですね…うわっ、これまた濃いのが…」
「こいつは驚いたぜ、兼続と久秀が組んでやがる!」
「一番相性悪そうなのに…いや間違いなく悪いはずなんですけど、それが一周して逆にいい方向に向かってるようですね…くっそうるせえ…」
「逃がしたい兼続とそれに抗おうとする久秀の光線やら爆弾やらで勝手に追っ手が倒れていく…意外性も激しさも、色男にはつきものだ。やるなああいつら!」


「久秀殿に抵抗しているうちに試練が終わっていただと!?なんたることだ、私に更なる義心があれば、もっと早くにこの悪党を改心させられたというのに…!」
「ぬっふふ〜!義昭を仕留められなかったのは無念だが、お主の実に悔しそうな顔を見れたから、我輩満足っ!」
「くっ、こんな凸凹二人組にまで遅れをとるとは…左近、このままでは、俺は…!」
「殿、試練はまだ残っていますよ?大丈夫。左近はどこまでもお供します、最後まで」
「っ……すまぬ、左近。頼りにしている」



「…えっ?なに?エンディング?理想の章?」
「は?なんの話だ?」
「いえすみません取り乱しました…して、孫市殿。次の関門は?」
「お、ついにここまで来たか。第五関門、器用自慢だ!こいつはかなりの高難易度だぜ、果たして制覇なるか!?」
「信親殿以外を討てば即失格、しかし周りを取り囲むのは体力の少ない忍びばかり…これはたしかにやりづらいですね。相当の器用さが求められるでしょう」
「ここで三成組がついに動いたぞ!左近が斬馬刀で忍び連中を…ははーん、考えたな。斬らずに押し退ける程度でとどめやがった」
「その隙に三成殿が信親殿を仕留めました。倒さずにあしらうだけとなると高度な技術が必要でしょう。さすが左近殿ですね」
「ってことで、この試練は三成組の勝利だ!」


「やりましたなあ殿、ようやく一本…ってちょっと!?殿!もうここに敵はいませんよ鉄扇ぶん回しながら近付かないでください!文句は俺ではなくからす殿本人に言ってくれませんかねえ!?」
「敵将を、仕留めたのは、俺、なのに、なぜ、その俺に、なんの、賞賛も…あいつの、目は、節穴かっ…!!」



「さて、これですべての関門は終了したわけだが…どう思う?からす」
「どうもこうも、皆さんそれぞれ一つずつしか制覇してませんからね…これだけでは誰が天下一の色男かなんて判断しかねます」
「その通りだ。ってわけで、諸君!これが最後の試練だ!現天下の色男である俺とその仲間であるからすを倒したやつが真の色男だ!お前らまとめてかかってきな!!」
「あ、その件ですが孫市殿。私実は急用を思い出したのでそろそろ帰らないといけないんですよ」
「は?」
「というわけで皆さんの相手は孫市殿一人で頑張ってください」
「いやいやいやいや待てよ普通に無しだろいくら疲れてるからってあいつら十人相手じゃさすがの俺もただじゃ済まねえぞ!?約束しただろあいつらぶっ飛ばすの手伝ってくれたら奥州の甘味食わせてやるって!」
「その奥州組から不穏な話が聞こえたんで遠慮するんですそれに恐らく共犯である孫市殿に従うわけにはいきません。じゃ、ご武運を」
「…ああそうかよ、わかったぜからす…なら俺も手段は選ばねえ。聞け諸君!もしも俺たちに勝てたら色男の権利が与えられるだけでなく、からすが何でも言うことを聞いてくれるそうだ!」
「おいちょっと待てコラお前何言っ…」


「聞きましたか兄上、勝てばあのからす殿と手合わせしていただくことも叶うということ!このような好機、今逃せば次にいつ訪れるか…これは急がねばなりませぬぞ兄上。真田幸村、推して参る!!」
「そうだな幸村。お前の望みは私の望み…それに、私もあのお方とは一度しっかりとお話ししてみたかったのだ。二人で勝利し、望みを叶えよう!」

「はっ、わざわざ説得する手間が省けたわ!待っておれからす、貴様は猿や狐ではなくこの竜と共に舞うことこそ相応しい!わしが勝ち、そのまま奥州に引き込んでくれよう!」
「その他を圧倒するお力と冷静な判断力があれば必ずや政宗様のお役に立てるはず。願わくば共に血気盛んな主人を支えていただきたいものです」

「なになに、あのからすが?何でも?言うこと聞いてくれるの?へーえ、そうなんだあ…俺だけじゃないと思うけど、あのお面の中にはずーっと興味があったんだよねえ…ちょっと本気出しちゃおっかな」
「奇遇ですね半兵衛殿、俺もからすの素顔をずっとずっと知りたかったのです。三成にどやされる前に早々に向かいましょう。あの男が本気を出すと厄介です」

「なんと!では、望めばからす殿に私自ら義と愛を教授させていただくことが可能ということか!いやしかし待て、相手はあのからす殿だ、逆にからす殿自身が掲げる義と愛を教えていただく方が有意義なのでは…!?」
「こ〜〜〜〜れは良いことを聞いたぞ。あの圧倒的な力を有するからすを我が手中に収め、悪党色に染め上げればァ…秀吉が創りしこのつまらん天下、一気にひっくり返すことも夢ではない!」

「どいつもこいつも好き勝手なことを言いおって…鬱陶しいのだよ!!全員まとめて黙らせてやる!そしてそのままからすも打ちのめし、二度と俺以外の人間を誉めぬよう命令してやる!!」
「ったく本音丸出しですよ殿…ま、せっかくだ。腕試しがてら相手になってもらいましょうかねえ、烏天狗さん?」




「ひ、人が黙って聞いてれば、こいつら……上等だ…十人束になってかかってきやがれ、返り討ちにしてやらァ!!」




数分後、全員きっちりぶっ飛ばした後に孫市も全力でぶっ飛ばし、見事天下の色男の座を手に入れたが丁重にお返しした俺ことからす殿なのであった。







190524


|