い
《これがお前の望んだ結末か?》
ああ、そうなるな。
《たった一人の男のために、命を捨てたというのか》
仕方ねえだろ。それでも助けたかったんだ。
《…後悔はないのだな?》
まったくないって言えば嘘になるけどな。けど、まあ、これであいつが生きる未来に変わったんなら、それでいいや。
《随分と潔いではないか。あれほど生にすがっていた男が》
しつけえなあ…なんなの?約束破ったから怒ってんの?実験失敗したから八つ当たりしてんの?そりゃあんまりだぜ恨むなら人選ミスした自分を恨めっつーの。
《ふ、神であるわしに対してそのような口ぶり…やはり人間とは面白い》
うるせえわ。そんで?その神様の約束を破った俺は地獄行きか?
《さてな、それは行ってみてからのお楽しみよ》
ケチかよ。まあいいや。こんだけ頑張ったんだし、天国っていう可能性に賭けるわ。
《それもまたよいかもしれんな》
ウン十年ぶりに言葉を交わした神様は、相変わらず楽しそうな声色でそう言った。
結局実験ってのはなんだったんだろう。約束無視して死んじまったわりには咎めるような口調でも声でもなかったのが不思議だ。
まあもうすぐそんなことを考える力もなくなっていくだろう。ほら、そうこうしてるうちに、いしきが、
190520