九州征伐


九州なう!古い?まあ気にすんな。そんなこんなで九州征伐中でーす征伐というか大友さん家から援軍要請があったから来ました〜みたいな。そのついでに九州も征伐しちゃおうぜ〜みたいな。なんか東京行くついでにスカイツリー見に行こうぜみたいな軽いノリで言ってるけど内容はおもくそ血で血を洗う大戦だからね。戦国時代って怖いね。マジ怖い。あとついにリアル立花夫妻に会えたぞギン千代普通に可愛いけど思いっきり「なんやこいつ」みたいな顔で睨まれてお面の下でショボーン顔してた俺です。カラスコワクナイヨォ。一方宗茂はというと興味深そうに至近距離でお面を観察していた。リアクションが真逆だなあと思い放置していたがやがて三成が強制的に引き剥がしていたので笑う。すいませんうちの子やきもちやきなんですよォ。

冗談はさておき、とりあえず立花山城は救援できたぞ。次は島津と直接対決かなあと指示を待っていたが、どうやらその島津に嵌められていたらしいことが立花夫妻によって判明した。宗茂の弟さんがいないらしい。そういやなんかそんなボーナスミッションあったようななかったような…?まあ恐らく助けねえとダメなやつだろうから俺が動くか。

「ちなみに直次殿の特徴は?」
「ああ、もちろん俺に似て美形だぞ」
「自分で言うな!」

いや顔じゃなくてもっとこう…と思ったがギン千代が俺の代わりにぶん殴ってくれていたのでまあよしとする。自覚あるからなおのこと腹立たしいが今は許そう。戦中だしな。ほんと大人になったわ俺。

ほな行ってきま〜すと立花山城付近の砦を攻略しつつ突っ走ること数分。あからさまにぼっちで敵勢と戦ってる御仁がおられたので颯爽と加勢した。多分こいつが直次なんだろうけど顔全然似てねえぞモブ仕様だぞそういやPCじゃねえもんな直次って。やっぱり宗茂のヒント無意味すぎてわろた。これは直次助けたあともっかいぐらいギン千代にぶん殴ってもらわねば。まずは敵将だけサクッと撤退させて、と。

「大坂より援軍に参りました、羽柴家家臣からすです。立花直次殿とお見受けしますがお間違いありませんでしたか?」
「い、いかにも、私は直次と申す…まさか助けられるとは…!」
「宗茂殿も心配しておられました。立花山城は無事取り戻しましたので、すぐにお戻りください」
「了解した!かたじけない!」

このご恩はいつか必ず!と叫びながら城の方へと向かった直次。よし、とりあえずミッションクリアかな…と思ったけどどうやらまだ終わってなかったらしい。背後から飛んできていたくないを振り向き様に叩き落とす。今日もオート防御は絶好調だぜ。

「…げっ、小太郎」
「ククク…久しいな、なまえ」
「さらっと本名出すのやめて」

どろんと現れたるは風魔小太郎。高虎はいない…な、よし。まったく唐突に現れてそういうことするのやめてくださいよ下手すると生死に関わる案件なんで…あと久しいなとか言ってっけどお前がちょくちょく俺のこと監視してたの知ってんだかんな?ねね忍法とからすパイセンのチートパワーなめんな?

「わざわざ九州まで何しに来たんだよ」
「我は混沌の化身…戦場に吹き荒ぶことに理由や目的など皆無よ」
「そういやそんなキャラだったなお前…この困ったちゃんめ…けど、俺の前に出てきたってことは敵だってことで倒していいんだよな?」
「ほう?我を倒すと申すか」
「倒すというか強制退場させる」
「それではつまらぬ。うぬとはずっとこうしたいと思っていた」
「こうしたい?うわっ、」

びゅんびゅん飛んでくる飛び道具や特殊な籠手を双剣でいなす。こ、こいつめっちゃヤル気満々じゃん!直次さっさと逃がしててよかったー!ここにいたら確実に足手まt…とばっちりで怪我させてたところだったわ!危ない危ない!

さて、どうしたもんか。のんびり思考してはいるものの小太郎の攻撃は止むどころかどんどん激しくなってくる。早く撤退させて立花夫妻とか本隊に合流したいんだけどなあ。あと普通に豊久に会いたい。戦終わったら頭わしゃわしゃしたい。そういうわけであまり長居はしていられないのだが、なにぶん小太郎は大きいだけでなく素早いしトリッキーだし何より忍びなので戦いづらい。オート防御があるからこっちが負けることはないんだが倒さねえと絶対追いかけてくるだろうしな。援軍なんて寄越されたらそれこそ戦いにくくなるし、うーん。

「どうした、我を撤退させるなどと豪語していたのは気のせいか?」
「るっせえやりづらいんだよお前!」
「ククク、ならばこのまま死ぬか」
「死んでたまるか!」

とりあえず攻めねばと籠手を思い切り弾き飛ばし、そのままダッシュで懐に飛び込んだ。しかし斬りかかろうとすると煙のように消えてしまう。地味にイラつく。くっそお前ゲームだとそんなことしねえくせに…忍びみたいなことしやがって…!しかし俺も俺で不意討ちは一切効かねえから一進一退ってとこだろう。

「けど、悪いな小太郎。そろそろ終わらせんぞ」
「っ!」

こっちにもまだ用事があるんでな!と特殊技を発動した。無属性だと弾くだけだった双剣も触れるだけで効果を発揮する。左手の凍牙の剣で素早く斬りつけ動きを封じ、がら空きの顔面をおもくそ全力で膝蹴り!よっしゃ深めに入った!ほぼ氷漬けだから吹き飛ばない=衝撃が逃げず全部ダイレクトにダメージ加算される!はず!そもそも最初からこうすればその隙に逃げれるじゃんうっかりしてた!

ずっとニヤニヤしていた顔が苦痛に歪んだのを見る限りようやく良いのが決まったらしい。っつーわけで俺島津んとこ行かなきゃだから!じゃあな小太郎!次は小田原城で会おうぜ!軽く手を振りそそくさと戦線離脱でござる。待ってろ豊久〜!!








「クク…まだまだ、足りぬ…」

あの男と、ずっとこうして死合いたいと思っていた。ようやく訪れたその時間はやはりひどく心踊るもので、けれどたった数分の攻防では足りない。どこか抜けているような口調や態度からは結び付けがたい、ふとした瞬間に放たれる凄まじい威圧感。隙だらけに見せているくせに、こちらがどう動こうとも傷一つ付けさせない反射神経。左右で能力の違う得物を自分の手足のように軽々と動かし、それでいて一太刀一太刀が重い圧倒的な攻撃力。

けれどあの刃に殺意は感じられなかった。それではまるで意味がない。もっと、もっとあの男と、純粋な、命の奪い合いを。

「…相模で待っているぞ」

気が付けば負傷した箇所の痛みなどとうに消えていた。次こそは本気を出させてやる。覚悟しておけ、なまえ。






190328


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