よそでやれ | ナノ


出し物を決めましょう  



「はい!今日は練習でお疲れの中集まってくださりありがとうございました!文化祭委員の友達から、自転車競技部からも何か出し物をとお願いされたので、今年は自転車競技部としても何かしようということになりました!ということでまずは俺が決めてきたいくつかの出し物を紹介するので、多数決でどれにするかを決めていきたいと思いまーす!」

荒「なまえチャンすっげえ勢いで仕切ってるけどこれ監督とか許可してんのォ?」
「ふっふっふ、監督どころかふくからも了承済みだぞ!」
福「その代わり、全体を指揮して進めるのはみょうじに任せるということで合意した」
東「任せる相手間違えてないか!?なまえだぞ!?大丈夫か!?」
「おい聞こえてるぞぱち!」
新「けど、メンバーこれだけか?もっといると思ってたけど」
泉「クラスの出し物に参加しないといけない部員もいますからね」
黒「結局いつものメンバーだし…」
葦「出し物何があるんだろうね〜」
真「屋台とか縁日とか、そういうのがいいなあ」
銅「俺ァ料理モンは作るより食う方がいいぜ」

「よーし、それじゃあみんながやる気になったところで、出し物候補を発表しまーす!まず一つ目は、バンドを組んでライブをする!」
荒「もう軽音部いるから被るじゃねえか。却下」
「却下ってなんだ!多数決だって言ってるだろ!」
新「そうだぜ靖友、話はちゃんと聞いとかねえと」
東「そうだそうだ!せっかちさんだなまったく」
「そして二つ目!お化け屋敷!」
東「却下」
「おいぱち!」
黒「さっきと言ってることちげえ…」
荒「んだヨオメーこそすぐ却下出してんじゃねえかコラァ!」
東「いいかお前たちよく考えてみろ!このメンツで!お化け屋敷なんて!許可が降りると思っているのか!?」
銅「…………はあ!?なんで全員こっち見てんスか!?そこは新開さんじゃねえのかよ!!」
泉「はっ、たしかに、新開さんが鬼になると本格的なリアルお化け屋敷が完成してしまう…!」
新「ははっ、そう簡単になってたまるかよ。多分」
荒「おいこいつなるぞ絶対なるぞ」
東「銅橋や新開だけではない!立っているだけで威圧的なドでかい大巨人もいるし、」
葦「へ?」
東「リアルフランケンシュタインもいるし、」
福「む?」
東「それになによりお前が暗闇の中で顔を出しただけで何人の女子が卒倒してしまうか分かったものでは」
荒「よーしオメーの言いたいことはよーくわかったぜ歯ァ食いしばれ東堂」
真「たしかに真っ暗の中でいきなり荒北さんが出てきたら男の俺でもビビりますよ」
荒「テメーもそこ並べ真波コラ」
「ちょいちょい!話が脱線してるし却下するにしても少し待てよ!まだ半分しか出てないのに!」
荒「さっきからうっせーぞオメーらなまえチャンの話が聞こえねーだろうがボケナス共がァ!!」
黒「うーわここぞとばかりに…」
葦「はーい静かにしまーす!」
「よーしよしよし偉いぞ葦木場くんは偉いな〜」
荒「意義ありィ!なまえチャン俺はァ!?」
「はいじゃあ三つ目いくぞー」
荒「おい!!」
「三つ目は、執事喫茶!どうだ、これはさすがに即却下できないだろう!」
東「ふむ。まあたしかに自転車競技部はおろか箱学1の美形であるこの俺が執事に扮して接客していれば女子の客に困ることはなくなるが…」
「ぱちはともかくしんだってイケメンだし、がくも女子にモテるし、他のみんなもかっこいいからなかなかアリだとは思うんだけど」
福「当然だ。俺たちは王者だからな」
泉「それ関係あるんですか福富さん…」
銅「俺は気に入らねえなァ。執事っつったら普通の接客より無駄に客にヘコヘコしなきゃいけねえんでしょ?それがちょっとな…」
荒「俺も銅橋と同意見だぜ。なんで見知らぬ他人にお嬢様だのご主人様だの言わなきゃいけねーんだヨ」
新「そうか?楽しそうだけどなあ、執事喫茶」
黒「東堂さんとか新開さんはノリノリでこなしそうですもんね。けど、俺も執事はちょっと…」
葦「面白そうだけど大変そうだよね〜」
真「大変そうなのよりもう少し楽なのがいいなあ」
東「どういう基準で決めようとしているのだお前は」


福「……いいのかお前たち」
「「「!」」」
福「先ほどから否定的な意見ばかりが出てきているが、みょうじが考えてきてくれた出し物は次で最後だぞ」
「まさかここまで却下却下言われると思ってなかったし……もう次のやつで決定でいいか?」
荒「いーんじゃナァイ?バンドは練習しまくらなきゃいけねえだろうし、執事なんかもっての他だしヨォ」
東「お化け屋敷も先ほど述べた理由だけで十分だろう」
泉「これだけお約束の出し物が出てきたんですから、最後はさすがに無難なものが出てくるでしょうしね」
真「何でもいいけど、俺は呼び込みとかそんな役でいいですよー」
銅「俺も別に執事以外なら何でも……つかお前が呼び込み役だと出入り口女子で邪魔になる予感しかしねえよ」
葦「俺は与えられるならなんでも頑張ります!」
新「せっかくなまえが考えてきてくれたんだ、俺もおめさんに任せるよ」
黒「何になろうと、なんだかんだでみんなちゃんとやるでしょうし」


「……お前たち、男に二言はないよな?」

東「……な、なんだ」
黒「みょうじさんが、悪い顔してる…!」
荒「つーか雰囲気ガラッと変わったァ!?おいなまえ、何企んで…」
「それでは!箱根学園自転車競技部からの出し物は、消去法で最後の候補だったメイド喫茶にけってーーーーい!!!」
「「「はああああああ!?」」」

銅「ちょっ、と、待てよみょうじさん、冗談だよな…?」
「なんだ、このタイミングで冗談を言うわけがないだろ?みんなも言ったじゃないか何でもいいって!」
荒「言ったヨ言ったけどそれとこれとは話が別だろォ!?なんでメイドなんだよ執事喫茶と被ってんじゃねえか!!」
「悪いな、みんなを油断させるために敢えてこういう順番で発表したんだ。そしてぶっちゃけるとうちの出し物はメイド喫茶って指定されてるからどのみち変更は無理だぞ」
黒「なんスかその理不尽なルール!つか、それなら最初っからメイド喫茶って言えば良かったんじゃ…」
「じゃあ逆に聞くけど、ただでさえ却下ばっかりだったのに、最初からメイド喫茶だぞって言ってわかったって納得してくれたのか?」
黒「そ、れは……」
荒「おお、すげえドヤ顔してる…」
東「どうだ反論できないだろと言わんばかりのドヤ顔だな…」
「それにふく、この話し合いのリーダーは誰だ?」
福「みょうじだ」
「進行役は?」
福「みょうじだ」
「決定権は?」
福「みょうじにある」
「はい主将もこう言ってるのでみんなの文句は一切受け付けませーんごめんなさーい!」
荒「いやいやいや福チャァン!!いーのかァ!?俺らこのまんまだと夏の合宿でなまえと黒田が着てたようなフリッフリのメイド服着せられんだぜ!?」
黒「ちょっとこの流れでそのネタ出さないでくださいよ!!」
葦「ええ!?ユキちゃんメイド服着てたの!?合宿でいったい何を…!?」
黒「ほら一番ややこしい奴食いついたじゃないっスか!!」
銅「とにかく、俺はゴメンだぜ!何が嬉しくて女装なんかしなきゃいけねえんだ、ただの笑い者じゃねえか!俺たちは王者だろ!誰もやるわけ…」



新「いや、俺は別にいいぜ。それにどうせ決まってるんだろ?」
「しん!」
銅「え、マジかよ新開さん!スカートだぜ!?」
荒「あー、あいつ合宿でミニスカポリス着てたからな…」
真「俺もメイド服興味あるなー。楽しそうですしね」
葦「俺に合うサイズのメイド服ありますか?大丈夫ですか?パンツ見えないか心配で…」
黒「いや他にもっとあるだろ心配するとこ…!」
東「俺も別に構わんぞ。女装したところでこの美形がより引き立つだけだろうしな!ワッハッハ!」
「く、クライマー勢のみんな、ありがとう…!」
黒「待ってください俺まだ一言も了承してねえ!」
「え?くろもやってくれるんだろ?」
黒「え、や、ま、まあ、決まってるんなら、やるしかないんでしょうけど…」
泉「いいじゃないかユキ、僕たちが日頃から鍛えている脚の筋肉を見てもらういい機会だ!」
銅「泉田さんまで…くそ、やるしかねえのかよ…」
「よしよし、スプリンター勢も攻略したぞ。あとは…」
荒「オメーら意思弱すぎんぞ!!もっとこう、ねえのかよプライドとか!なあ福チャン!」
福「俺は出し物の件について了承した時点でメイド喫茶の話も聞いていたし、すでにみょうじには俺も参加するという意思を伝えてある」
荒「はあ!?」
「つまりあとはお前だけだ、やす!」
荒「ざっけんなヨ裏切ったな福チャァン!!」
「まあけど、正直銅橋くんとお前だけはなかなか納得してくれないだろうなとは思ってたから想定内だぞ。やす、ちょっと耳を貸せ」
荒「おい、言っとくけど俺は何言われたって…!」

新「うーん、まあ、靖友は渋るだろうなあ」
東「なんだかんだで最終的にはやるだろうがな」
真「でも荒北さんのメイド姿とかほんと想像できないですよね〜」
銅「荒北さんだけじゃねえけどな…」
葦「あ、帰ってきた」
泉「荒北さん、なんか、すごい顔してませんか…?」
黒「怒ってるようなニヤけてるような…何言われたんだ…?」

福「どうする荒北。決心したか?」
荒「…………仕方ねーからやってやんヨ…ハッ!コスプレ上等だヨ!おかえりなさいませご主人様ァァ!!」
福「よし!」
(((どうやって手懐けたんだ…)))


「ということで、次回からは本格的に話を詰めていくぞ!また日を見つけて集合してもらおうと思います!練習で疲れてるだろうけど、文化祭までの辛抱だからなんとか耐えてください!俺も頑張る!それでは今日はこれにて解散!ありがとうございました!」



(文化祭当日まであと一ヶ月! )



160515

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