よそでやれ | ナノ


脅迫状の正体  



(アンケネタ)






「は?」

授業中つい昼寝しちまったせいでセンコーから無駄に長ったらしい説教を受けていた放課後。やっと解放されたので部活行くかあとケータイを開けば、東堂のやつから写メ付きのメールが。

『お前の可愛い可愛いなまえは俺たちが預かったぞ!』

というメッセージと、なまえが、顔真っ赤にして、半泣き状態の写メ。そうして冒頭に至る。

「………コロス」

ケータイからミシリという音が聞こえたような聞こえなかったような。気にせずそれをカバンに放り込み全速力で部室へ走った。











「テメー東堂コラァ!!出てきやがれぶっ飛ばしてやんヨォ!!」
「ええっ!?」

乱暴にドアを開けてみたものの、そこに東堂の姿はなかった。代わりとばかりに驚いて俺を見るのはいつもの二年トリオだけ。

「チッ、あんのボケ…!おいオメーら、東堂のやつ見なかったか!?」
「東堂さんなら、新開さんと一緒にどこかへ行きましたけど…」
「新開だァ!?」

泉田の言葉に頭が痛くなった。まさかあいつら、グルになって何かしら企んでやがるってことか?そういやメールにゃ俺“たち”って書いてたか。最悪だ、最悪の組み合わせだ。

「何かあったんスか?」
「…なまえが誘拐された」
「えええ!?みょうじさんがですか!?」
「い、一体誰に!?」
「多分犯人は東堂と新開だ。あいつら見かけたら取っ捕まえといてくれるかァ?」
「わかりました。つか、なにやってんスかあの人たち…」

呆れたようにそう言った黒田を含め、泉田と葦木場にも頼んだぞと念押しをしてその場をあとにした。ロッカールームかトレーニングルームかそれとも外か。ひとつひとつ全部探していくのは時間の無駄だろうとさっきの写メをもう一度確認する。

「なんかヒントになるもんがあるはず……あ?」

赤面涙目のなまえの左横。画面から切れるか切れないかってところに微かに映ってるのは多分洗濯機だ。

(ってことは…洗濯場か!)










「うーむ、おかしいな」
「まだ来ねえな、靖友のやつ……あ、」
「これだけすれば飛んでくると思ったのだが「見つけたぞこのボケナスがァァ!!」どわはああああああ!?」
「ヒュウ!」

のんきに足を組んで椅子に座っていた東堂めがけて洗濯かごを投げつけてやった。バキューンポーズをかましやがった新開には洗濯前のジャージ数十枚な。まあそれでも腹の虫は収まらねえんだけどな!とりあえずはなまえの回収が先だ。

「お、おま、荒北!これは人に投げつけていいものではない!!」
「っせぇヨ中身無かっただけ感謝しやがれボケェ!!つーかなまえはどこだ!!」
「まあまあそう焦りなさんな。心配しなくてもなまえなら…」
「やす…?」
「!!」
「…やすの声がする……」

こちら側からは死角になっていた洗濯機の向こう側から聞こえた声。どこかとろんとした声でこちらへひょっこり顔を覗かせてきたのは、紛れもなくなまえだった。

「なまえ!!」
「あ、やっぱり、やすだあ…」

俺を見つけた途端に顔を破綻させたなまえを抱きすくめた。くそ、この、なんだヨその顔可愛すぎんだろ…!

「大丈夫か!?なんにもされてねえか!?つかなんでそんな顔真っ赤なのォ!?」
「やす…ん…苦しい…」
「あっ、ゴメンネ…じゃなくて、お前なんでそんな……あれ?」
「どこ行ってたんだよやす…俺、寂しかったぞ…?」
「………おいオメーらこいつに酒やったろ」
「おお!やっと俺たちの存在を思い出したか!」
「すっかり忘れられたのかと」
「いいから答えろバァカ!」

間違いなく酔ってやがる。だからこいつ、いつもより顔真っ赤で甘えただったんだな。

すりすり頬を擦り寄せてくるなまえが可愛すぎて忘れてたけど、そういや犯人こいつらじゃねえか。なんだってこんな美味し…いや無茶苦茶な状況になってやがんだ?

「まさか、また差し入れかなんかで…?」
「うむ。しかし今回は俺ではなく隼人への差し入れだ!」
「もらったお菓子に洋酒が入ってたみたいでさ。だから早く靖友に預けないとって思ったら全然来ねえし…」
「というわけであのメールを送ったというわけだ!」
「その様子を見る限り、」
「「大成功だったようだな!」」
「ハモってんじゃねーヨこのボケナスどもがァ!!」

今度は中身入りの洗濯かごを二人めがけて投げつけてやった。










ネタ元:東堂、新開で「荒北にイタズラを仕掛けようとする話」というコメントから
ありがとうございました☆



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