よそでやれ | ナノ


これが大人の対応  



(アンケネタ)
(洋南設定)









「え、氷もですか!?わかりました一緒に買って帰ります!」

はい、はい、と何度か返事をして電話を切る。ちょうど出先だったからなにか必要なものはないかと先輩に電話をかけたのは数分前だった。頼まれていたものを購入して薬局を出た瞬間鳴り出したケータイから、今度は氷の追加注文が入って途方に暮れている。はいはいって返事だけはちゃんとしたくせに。くそう。いや、買いますけどね?買いますけどただでさえ薬局で買った荷物が多いってのに氷も追加って…俺自転車なんだけど…。

「…仕方ない。ちょっと危ないけど片手運転でなんとか…」
「そんな無茶を俺たちが許すと思ったのか?」
「へっ、」

とりあえず買いに戻るかと自転車を止め直したその時、後方から聞き覚えのある声がした。

「あれ、金城くん!どうしてここに?」
「少し気になったからな。荷物持ちとして来た」
「き、金城くんが荷物持ちって…おそれ多い…」
「フッ、気にするな。それで、荷物はそれだけか?」
「ああ、いや、あと氷も頼むってさっき電話が入ってさ」
「そうか。なら早く済ませてしまおう」
「おう!」

高校の時はライバル校の主将だった金城くん。今では同じ学校に通っていて同じ部活で一緒に頑張ってるんだから、人生って不思議なもんだなあと思う。それ以前から彼とはインハイとか合宿で何度か交流もあったし、今でもこうして一緒に買い物できるくらいには良好な仲だ。やすとのことも応援してくれてると聞いた時にはさすがに驚いたけどな。後から聞いた話によると虫除けだとか牽制だとかのためにわざわざやす自らあっちこっちで公言していたらしい。すごい行動力だ。









「じゃあ氷は俺が運ぶから、こっちは金城くんにお願いしていい?」
「任せておけ」
「ありがとう。じゃあ帰ろうか」

これで頼まれていたものはすべて買えた。氷を自転車のかごに突っ込んで、前を走る金城くんの後ろについて走る…って、そうだ。このまま練習なんだったら、先に帰っててもらった方がいいんじゃないか?

「ごめん金城くん!」
「ん?どうした」
「俺に合わせなくていいから、先に戻ってて!練習遅れるよ!」
「…それなら気にする必要はない。みょうじに手を貸しに行くということは、部長にも荒北にも伝えてある」
「あ、そうなの…って、わざわざやすにまで報告しなくてもいいのに」
「巻島や福富からあいつの取り扱いについての注意事項はたくさん聞かされからな。対処法はバッチリだ」
「……いろいろごめんな金城くん…」

あとまきとふくも。なんか、なんかごめん。俺もいろいろ気を付けるな。あと絶対やすにも一言二言文句言っとく。絶対にだ!

「それに、」
「えっ、まだあるのか!?」
「そうでなくとも、ペースを合わせることに理由などいらないだろう?」

ちらりとこちらを振り向いた金城くんは笑顔だった。

「……そっか。ありがとう!」

今回は大人な金城くんに助けられたな!










ネタ元:「洋南設定での金城との絡み」というコメントから
ありがとうございました☆



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