よそでやれ | ナノ


クンカクンカ  



部屋でまったり過ごしている時、ふと思い付いた。

「なあやす」
「なにィ?」
「俺って今どんなニオイする?」
「……もう風呂済んでるから石鹸のいい匂いがする」
「いやそうじゃなくて」

二人してベッドの上で駄弁る。壁にもたれて座る俺の膝の上で寝そべるやすは猫みたいだった。

「ほらあれだ、ゴールのニオイだぁとかエリートくせぇとか言うだろ?あんな感じ。俺ってどんなニオイする?」
「…アー、なんだ、誘ってんのォ?」
「え?」
「じゃあ乗ってやんヨ」

のそりと起き上がり、俺を挟んで壁に手をついたやす。ちょっと待て、雰囲気が妖しいぞ。興味本意で聞いただけなんだけど。

「…や、やす?」
「……(スンスン)」
「わかった?」
「わかんねえ」

体が近付いた。顔が首筋に迫っていく。

「……んー…」
「わ、かった?」
「…全然わかんねえ…」

首筋に鼻を押し付けられた。やすの荒い息が鎖骨にかかる。なにこれすごく恥ずかしい。どうしよう。大事になってきたぞ。

「…っ、やす、そろそろ…」
「だぁってまだわかんねえもん…」
「嘘つけ!」
「はっ…なまえチャン、ヤバイわ俺…」
「落ち着け!大丈夫!お前なら大丈夫だ!落ち着けやす!」
「んん、無理ィ…はあ…っ」
「ひっ」

べろりと鎖骨に舌が這った。情けない声が漏れる。いや、付き合ってるんだしこういう日が来るのは知ってたけど、拒否する理由なんかないけど、でも心の準備が出来てないしどう反応したらいいのかわからん誰か助けて!

まずいと思って押し退けようとしたら先に両腕を押さえつけられてしまった。反応早い怖い!

「ごめんやす俺が悪かった!話せばわかる!」
「ねえ、わかったヨ、なまえのニオイ」
「いやもういいよそんなの!」
「俺のことが好きだって、大好きだって、そんなニオイ…あと、すっげー俺に食べられたいってニオイがするゥ…」
「それ完っ全に都合よく解釈してるよな!?」
「俺は早くなまえのこと食べたいんだけどォ…ダメ?」
「ダメ!!!」
「まあもうとまんねーけどネ」
「止めろバ…落ち着け待て早まるなやめてごめんやす…!」
「いただきまぁす」

バッターン!!

「そこまでだ荒北ァァァァァ!!!」
「うぉわあっ!?」
「ヒュウ、尽八のなまえピンチレーダーはすごいな」
「何しに来たんだヨてめえらァ!空気読めこのボケナス共!つかなんだよそのふざけたレーダーはっ倒すぞ東堂ォ!」
「空気を読んでなまえを救出しに来ただけだ!ほらよく見ろなまえのやつ半泣きだぞ!」
「ぱちいいいいいいいしんんんんんんん怖かったあああああ」
「なんっでだよ!煽ってきたのなまえチャンだろォ!?」
「なにっ!?」
「そんなつもりなかったんだってば!」
「それは酷いぜなまえ。靖友にとっちゃただの生殺しだ」
「邪魔してきたオメーに同情されても嬉しかねーよバァカ!」
「尽八、今からでも遅くない。邪魔物はさっさと退散しようぜ」
「そ、そうだな、なまえが同意の上だったのなら俺達がむやみやたらに手を出すわけには…」
「ええっ!?」
「もう今さらおせーよ萎えたからァ!」

しばらく興味本意でホイホイ言葉を発するのはやめようと思いました。




151222

[ ]