(診断ネタ)
「どあっ」
最後のボトルを拾おうとしたら直前でつまずいてしまった。しかもそのせいでボトルを蹴飛ばしてしまった。ころころ転がっていってしまったそれを見て苦笑い。
「……あ、」
軽く早歩きをしながらボトルを追いかけていると、俺が拾うよりも先に拾われてしまった。地面から上にあがっていくボトルと一緒に視線をあげていくと、
「ああ、くろ。ありがとう」
「いえ。大丈夫スか?」
「大丈夫大丈夫。ちょっとつまずいてな」
差し出されたボトルを受け取ると、全部見えてましたよと言われた。なんだそれすっごい恥ずかしい。
「気ィ付けてくださいね、あんたおっちょこちょいなんだから」
「……くろってたまに意地悪言うよな…」
「そんな俺は嫌ですか?」
「嫌だ。今だってニヤニヤしてるし」
「じゃあもっと優しくします」
「え、うーん、優しいのはいつものことだしなあ…たまに出てくる意地悪なところを控えてくれたらそれでいいよ俺は」
へらりと笑ってそう言った。さて、そろそろ戻るか…と思ったらボトルをいくつか奪われたので驚く。
「…え?くろ?」
「半分持ちます」
「ええええーいいよそんなの!これ俺の仕事だし!」
「せっかくの俺の優しさを…」
「わざとらしくショックそうな顔するな!さっき言ったのはそういうとこだぞくろ!」
そう怒るとまたニヤニヤしだしたくろ。なんということだ、ついには後輩にまでバカにされてしまうようになったのか俺は…先輩の威厳とはいったい…
「…ま、今後は気を付けます。嫌がられたくねえし」
「!」
「だから、俺のこと嫌いにならないでくださいね?」
「へ?大袈裟だなあ、そんなことで嫌いになるわけないだろ」
まあ腹は立つけどな!と続けると、困ったような不安そうな、なんだか微妙な笑顔が返ってきた。なんだ、嘘だと思ってるのか?そんな簡単に嫌いになるほど心の狭い男じゃないぞ俺は。
その笑顔の理由を聞こうとしたら、聞く前にボトルを持ってさっさといってしまったので慌てて追いかけた。
(くろはやっぱり優しい子だな、なんて)
(能天気にそんなことを考えていた)
『愛してる』とは言えないから、黒田は「嫌いにならないで」と口にする。
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