「たとえば」
「ウン」
「たとえばだぞ?」
「ウン」
「たとえば、猫と俺が入れ替わったとします」
「ウン」
「中身が俺の猫と、中身が猫の俺がいます」
「ウン」
「どちらかとしか共存できません…って言われたらどうする?」
「無理って言う」
「悩みすらせずに答えたな」
「だってどっちもなまえチャンじゃナァイ。どっちかとか選べねーし」
「そっかあ」
「そーだヨ」
「俺愛されてるなあ」
「今さらァ?」
「でも俺も同じ質問されても無理って言うかも」
「俺ら似たもん同士だネ」
「えへへへへ」
「なにその顔可愛い」
「荒北くん」
「あらきたくんて」
「荒北靖友くん」
「ハイハイなんですかァ?」
「インターハイお疲れさまでした」
「そちらこそお疲れさまでした」
「もうすぐ受験シーズンですね」
「ちょっと早くナァイ?」
「いやいやあっという間だって。どこ行くとか決めてるのか?」
「なまえチャンとおんなじとこ行く」
「え、ほんとに?俺関西なんだけど」
「えっ」
「ごめん嘘ついた」
「なんの嘘だよしばくぞ」
「どんな反応するかな〜と思って」
「ガチでビビった」
「そんな遠いとこまで行かないよ」
「ふーん…とりあえず嘘ついたからお仕置きネ」
「えっ」
「罰としてなまえチャンからチューしてください〜」
「ごめんって言ったじゃん」
「無理。俺マジで焦ったもん。ほら早く」
「恥ずかしいから嫌です〜」
「唇でいいからさァ」
「だから恥ずかしいんじゃん」
「ワガママ」
「逆にどこにチューするのが恥ずかしいと思ったんだよ」
「はあ……ったく」
「ていうかやすがしたいだけだろ」
「そうだけどォ」
「素直」
「なまえチャンにだけだヨォ」
「可愛いやつ〜」
「なまえチャン好き〜」
「なんだよ今日デレッデレだな」
「チューしていい?」
「えー」
「嫌なのォ?」
「……嫌じゃ、ないけど…」
「…その顔可愛すぎ」
「んむっ、」
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