よそでやれ | ナノ


合宿四日目:お背中お流しします  



「………なんだこれ」

あれやこれやと用事をしていたせいで遅れて風呂に入ると、中がすごいことになっていた。総北のみんなと箱学のみんなが大きな輪になって背中の流しっこをしている。昔こんな絵本読んだな、あれはたしか動物たちがこんな風に輪になって…

「やべえ衝撃のあまり現実逃避してるぞあいつ」
「なまえ!怖くない!怖くないぞ!大丈夫だからこっちへ来い!」
「ナウ○カかよオメーは」
「大丈夫じゃないよ…なんかすごいよ…ふくとかすごい真顔だし…あっ、いつも通りだった…」
「なまえチャァン背中流してよォ」
「まきがぱちの背中流してるし…ほんとなんだこれ…しかもくろがすっごい疲れた顔してる…」
「聞いてくださいよなまえさん!塔一郎と荒北さんがひどいんスよ!」
「あっ、コラ黒田てめえ!チクってんじゃねーヨ!」
「違うんですみょうじさん聞いてください!ただ僕は黒田くんの筋肉のことを思って…!」
「よくわかんないけど泉田くん、めっ!」
「あ、アブゥ…」
「なにそれなまえチャン俺も俺も」
「それはさすがにキモいぞ荒北」
「それはさすがにキモいぜ靖友」
「てめえら二人とも沈めんぞコラァ」

この謎の流しっこ、聞くと小野田くんが提案したらしい。すごいなあの子。ふくとか金城くんまでちゃんと参加してるもんな。

インハイではもちろん、今日のレースでもとてもいい勝負をしていた二校が、楽しそうに背中を流し合ってる。なんかすごい光景だけど、いいな、こういうの。

「来いよなまえ。背中、流してやるっショ」
「え」
「ハア?寝言は寝て言えよボケナス。俺に流してほしいよネェなまえチャン?」
「ならんぞなまえ!荒北なんかに洗わせたら大変なことになる!代わりに俺が流してやろう!」
「東堂さんはそのまま俺の背中流しててくださいよ〜。ってことで、俺がお背中お流ししますよみょうじさーん」
「真波がやるくらいなら俺がやります。多分こん中だと俺が一番普通っスよなまえさん」
「それは心外だな黒田。俺だって背中流すくらい普通にできるぜ?」
「僕に任せていただければみょうじさんの筋肉を最もいい状態にしてさしあげることができますよ!」
「な、なんや箱学の人ら…めっちゃ必死や…」
「なんか今日無駄にモテるな…よし、じゃあ間をとってふくにお願いします!」
「任せろ。俺は背中を流すのも上手い!」
「「「なんでだよ!!」」」

ちなみにふくは本当に上手だったからビックリした。




160125

[ ]