よそでやれ | ナノ


合宿二日目:コスプレショー  



夕食後、がくが面白いものを見つけたと言う部屋に行ってしまったみんな。そこにあったのは宴会グッズで、これまた旅館側からのお詫びの品らしい。プールから夕食から、こんなところにまで気を配ってくれるなんて、本当にいいとこだなここ。でかいしな。

俺はというと、くろと一緒に旅館内にある売店へ買い出しに行っていた。遅れてやってきたそこには、すっかりノリノリで仮装していたみんながいた。それにしても…

「がく〜お前可愛すぎる〜!」
「あ、その声、みょうじさんだ〜」
「なんだ見えてないのか。可愛いぞがく!ナイスチョイス!」
「わーい!」
「荒北さんは…すごいっスね、一番様になってる気が…」
「んだヨそれ褒めてんのか馬鹿にしてんのかどっちだ黒田ァ」
「ちょっと怖いけどかっこいいぞやす!」
「は、はあ?んなのわかってっしィ…」
「ぱちは侍か、似合ってるな!」
「ワッハッハ!そうだろうそうだろう、もっと褒めてくれても構わんぞなまえ!」
「ッゼ」
「塔一郎、お前はほんとにどうしたんだよそれ…悪酔いしすぎた新成人かよお前…」
「どうしたって、わからないのかい?剣闘士だよユキ!強そうだろう?」
「強そうかどうかはわかんねえけど…福富さんは褌だし、何がどうなってんだよここ…」
「褌をなめるな黒田。お前も締めてみればわかる」
「わかりたくねえ…」
「しんもまたすごいなあ、婦警さんだ!」
「なかなか可愛いだろ。おめさんのこと、逮捕しちまうぜ?」
「ヒュウ!」
「なまえさんもなまえさんでノリノリだし…やべえ俺がしっかりしねえと常識人がいなくなる!」

「さて、なまえに黒田よ…ここに来たということは、わかっているな?」
「えっ、」
「おお!俺もしたい!コスプレ!」
「いやいやいや俺は結構です皆さんで楽しんでてください!」
「ならんよ黒田!お前も強制参加だ!」
「先輩命令だぞ黒田。まさか聞けねえなんて言わねーよなァ…?」
「あとで記念写真も撮るしな。好きなの選べよ、黒田」
「黒田さんもしましょうよー、着てみると意外に楽しいですよ?」
「そうだぞユキ。先輩方もこうして誘ってくださってるんだし」
「う、けど、」
「早く選べ黒田。まだ衣装はいくらでも残っている」
「福富さんまで…」
「なんだよ嫌なのか?一緒に選ぶぞ、くろ!」
「………わっかりましたよ!!着ればいいんでしょ着れば!!」





「二人とも、準備はいいかー?」
「大丈夫だぞ!」
「はい…」
「よーし、では開けるぞ!せーのーでっ…!」


「じゃじゃーん!ダブルメイド〜!」
「ぶっは…!!」
「うわあああああああああ荒北さんが鼻血を出して倒れたあああああああああ!!」
「二人でお揃いにしようって言ったら、くろがこれにしましょうって言ったからな。可愛いか?」
「お、おま、くろ、お前、な、なにを着させてるんだお前は!!」
「うっわ〜みょうじさんも黒田さんもすっごく似合ってますよー?」
「ほんとか!?よっしゃ!」
「嬉しくねえ…」
「なんでだよ、くろも可愛いぞ?」
「っ、あんまこっち見ないでくださいなまえさん…!」
「けどちょっとスカート下過ぎねえか?もうちょい上げてみろよ」
「やめろ隼人これ以上死人を増やす気か!!」
「う…なまえチャン…なまえチャンが天使過ぎて死ぬ…」
「えっ」
「しっかりしろ荒北!みょうじが困っているぞ!」
「はっ、なまえチャン困らせるやつは俺が許さぶっはァ!!」
「荒北あああああああああ!!!」
「誰かティッシュ持ってこい!!箱だぞ箱ごと持ってこい!!」

「なんだ…ちょっとぶりっ子しようと思ってたのに着ただけで殺人現場みたいなことになってしまったぞ…」
「それ絶対やめてくださいよ…旅館から追い出されちまう…」




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