よそでやれ | ナノ


合宿二日目:やすが浮気した!!  



「あ、みょうじさーん!」
「がくか。どうした?」
「福富さん見ませんでしたか?総北の主将が探してるみたいで」
「金城くんが…いや、残念ながら見てないな。一緒に探そうか」
「いいんですか?やったー!」

プールトレーニング終了後、特に仕事もないのでダラダラと旅館内を歩いていたらがくと遭遇。どうせ暇だし、一緒にふく探しへレッツゴーだ!

ということでいろんな箇所を探したんだけど、これがなかなか見つからなくて大苦戦。旅館内にはいないのか?

「もしかしたら外かもしれないな…行ってみようか」
「はーい」

ちょうど玄関前まで来ていたので、そのまま外に出る。するとすぐそこの車の前にふくと…やす?

「お、俺が、や、やさしく、だ、だ、だ、抱きしめて…」
「何を言っているんだお前は」
「るっせ!自分でもそう思うヨ!!」

「あれ、荒北さんも一緒だ。何してるんでしょうね」
「……ぅ…」
「…みょうじさん?どうし」
「浮気だ!やすが!浮気したあああああああああ!!」
「うわっ」

「「!?」」

気が付けば大声でそう叫んでいた。驚いて振り向いたふくとやす。車の下から颯爽と飛び出していった黒猫。なるほど、あいつが浮気相手か…噂のニャン吉か…!

「なっ、え、なまえチャァン!?何言ってんだヨ誤解だって!今の見えたろォ!?昨日新開が言ってた…」
「うるさい言い訳なんか聞きたくない!!この!!浮気者め!!」
「いや聞けよ!!相手猫だぞ!?浮気でもなんでもねえだろ!!」
「俺の時はいちいち聞かずに慣れたように抱きしめてくるくせに、あんな、恥ずかしそうに、優しそうに…うわああああああああああああああああああん猫に負けたああああああああああああああああああ!!」
「だあっ!待てよなまえ話聞きやがれ!!」


「……なんか、ドラマとかでよく見るベタな修羅場でしたね」
「結局はすぐ元通りになる。問題はない」
「ですよねー…あ、そういえば俺福富さんに用事があったんです!なんか総北の主将が福富さんのこと探してましたよ」
「む、金城か…わかった。俺たちも旅館にもどるぞ」
「はーい」



その後、荒北さんの恥もプライドもなにもかも脱ぎ捨ててまで行った一時間にも及ぶ説得により元通りになったとかなんとか。



160121

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