(診断ネタ)
「やっべえな」
「やっばいな」
「すげー降ってるっショ」
「ゲリラ豪雨とかいうやつ?こんな急に!?天気予報そんなこと言ってなかったのに!」
うひゃああああと慌てているのか喜んでいるのかよくわからない悲鳴を上げているなまえと共に、近くにあった公園の東屋で雨宿りをしている。せっかくあの番犬の目を掻い潜って久々に会えたってのにまさか雨に邪魔をされてしまうとは。すぐに避難できたから濡れてはいないものの、雨はまだまだ止みそうになく、むしろ勢いを増していっている気がする。
(…たしか、あの時も雨が降ってたよなァ)
あの日、俺からの告白の返事をわざわざ千葉までやってきて返しに来たなまえ。しかも答えは“NO”なのにだ。律儀すぎるにもほどがある。
まあ、こいつのことだ。どちらにせよきっと簡単には済まさずにきっちり返してくるだろうなとは思っていた。正直答えなんて分かりきっていたし、それでも来てくれたことを素直に喜んだ。そんなお前だから好きになったんだと思う。
「うーん…止みそうにないなあ…」
「……なまえ」
「ん?どうした、まき」
「しばらく動けねえだろうし、言葉遊びでもしねえか?」
「?」
きょとんと目をまあるくして俺を見る。それでも遊びという言葉が気になったんだろうな、少しだけ期待してるようにも見えた。
伸ばした手は情けなく微かに震えてる。それを誤魔化すようにふらふらとさ迷わせて、最後にポン、となまえの頭の上に乗せた。
「言葉遊び…」
「そう。騙されんなよ?」
「え?」
「いいかァ?今から俺が言うことは、全部嘘だ」
「!」
そう。全部嘘。
「俺は今日お前に会いたくなかった」
「……ああ、なるほどな」
「そんな日に雨が降ってくれて嬉しい」
「………」
「今すぐ家に帰りてえ」
「ははっ!それも嘘なのか?」
「はやくお前から離れたい」
「うっ、ひどい言いぐさだな…」
「…あの日のこと、ずっと後悔してる」
「……あの日?」
「告白なんかするんじゃなかった」
「!」
「全然スッキリしねえ。モヤモヤする」
「……笑ってる…嘘だな」
「クハッ…じゃあこれで最後」
「………」
「俺は、今でもお前が好きで好きでたまらない」
どうしようもないくらい、愛してる。
表情も声も一切変えてない。さあ、すっかり固まっちまったこいつは、どう解釈してるんだろうな。
(本当に、全部嘘ならよかったのになァ)
巻島からマネ主への愛の言葉:土砂降りの雨が世界を隔てる午後、躊躇いがちに手を伸ばして「今から言うこと、全部嘘」
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