よそでやれ | ナノ


クンカクンカ2  



※なまえくん変態くさいです







「ひゃー、もうほとんど洗濯したあとみたいになってるなあ…」

汗でびしょ濡れになってしまったジャージを一枚一枚洗濯機に入れていく。毎日みんな本当に頑張ってるからな。俺はこういう分野でしかサポートできないから、全力で取り組まないと。

「……あ、」

一枚手に取り、ピタリと止まった。これ、やすのジャージだ。ニオイで分かってしまうのが恥ずかしい。

「そんなとこまでやすに似てきたのかな…」

やすのジャージもみんなのと同じで、水浴びをしてきたみたいにびしょ濡れだ。口ではめんどくせーだのダリーだの言うくせに、ちゃんとやるんだもんな。野球やってた時も練習からしっかり仕上げてきてたし…ってこの話したらやすに怒られるな。

「……はー…なに考えてんだ俺…」

ジャージ片手に頭を抱える。よからぬことが頭を過った。ニオイを嗅ぎたいなんてそんな、変態みたいな、しかも汗なのに、

「…ちょっとだけなら……」

周りをきょろりと見渡す。みんなロッカールームやら室内練習やらで出払ってるし、来たとしても洗濯中だから怪しまれることはない、はず。

ダメだ、欲望に負けてしまった。だってやすのニオイ好きなんだもん!ごめんやす!ほんとごめん!心の中で謝ってもなんの解決にもならないけど!

「ちょっと魔が差しただけだ…そうだ…普段やすだって嗅いでくるしおあいこだ…」

ぶつぶつと言い訳しながら、ジャージに顔を近付けた。うわ、すっごい汗のニオイ。でもその中にもほんのりやすのニオイと、石鹸のニオイが混ざってる。

(…なんだこれ…変な気分…)

目をつぶると、やすに抱きついてる気がしてきた。部活中は抱き付くことなんてないもんなあ。走ってきた後とかローラーの後に抱きついたらこんな感じなのかなあ。今度やってみたらやす驚くかな…いやいや部活中はベタベタしないって決めたんだしそれはできない。というかはやく洗濯の続きしなきゃ。ああでももうちょっとだけ、

「はっ…やすぅ…」

ガッシャーーーーン!!

「ひょわあああああっ!?」

思わずジャージをぶん投げてしまった。振り向くと、そこにはダンベルを落とした泉田くんが…

「………見、た?」
「みっ、見てないです!なにも!」
「嘘だ絶対見ただろだからダンベル落としたんだろうわあああああああああああああああああん!!!」
「ままままま待ってくださいみょうじさん落ち着」
「誰だァ俺のなまえチャン泣かせ…泉田ァァァァ!!!」
「アブゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
「うわあああああああああああああああああん!!!」




「圧倒的ツッコミ不足!!!」
「ヒュウ、来るのが遅れちまったぜ」
「先程の荒北の走り…あれは、ゴール前の引きのそれだった…」
「言ってる場合か!はやく止めるぞ!」





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