かなしいくらいにたちはこどもだった

物間とは一度だけ、肌を重ねたことがある。
中学二年生の、付き合って三ヶ月ほどの時だった。
思春期真っ盛り。お互いにそういう経験がなかったからしてみたかったのと、お互い「触れたい」という欲が爆発したからだった気がする。
いつものように物間の部屋で一緒に勉強していた時だった。季節は夏の半ばで、猛暑の日だった。
首筋を伝う汗。物間が放つ色香はどうしても中学二年生のそれとは思えなくて、どちらからともなく、キスをした。
未経験だからかたどたどしくて、でも優しかった。あの時も、同じベッドの上だったな。
ふわふわとした脳はそんなことを勝手に思い出していたけど、三度目の絶頂で意識は引き戻される。

「はあ、ひ、も、やだ……」

みっともなく掠れた声で繰り出される自分自身の喘ぎに、耳を塞ぎたくなった。
もうやめて欲しい。なのに、彼から垂れる汗とか、鬱陶しそうに髪をかき上げる仕草を見ると、もうどうだっていい気になる。
止まらない刺激に、先程達したばかりだというのにもうイきそうになる。
イク、とうわ言のように呟いた瞬間、止められた刺激が切ない。
素直にイかせてくれた三度目の絶頂もあってか、体のずっとずっと奥が疼く。

「あ゙あ、っひい、ん、イかせて、おねが、」
「馬鹿じゃないの、イかせるわけないじゃん、」
「ごめ、ごめんなさ、あ、」

腰を止めた。かと思いきやまた二、三度動かされて、また止まる。
イキたくて仕方なかった。
こんないじわるするなんて酷い。全部私が悪いんだけど。
限界が近づいてきたらしい物間は、私の耳に顔を近づけて囁く。

「っん、もう出すから」
「え、あ、! やだやだ、ごめんなさ、中だけはやだ、あ゙っん、」

赤ちゃんできちゃう、とより一層涙を零しながら、彼から離れようと体を捩る。
それでもがっちりと掴まれた腕を振りほどくのは不可能に等しかった。
ゆるして、やだ、と呟いても止まる気配はない。

「……なあ、孕めよ、」

低い声だった。あまり聞いたことのないような声に力が抜けて、もう本当にどうだってよくなった。
このまま妊娠してしまったら、雄英辞めなきゃならないのかな。ヒーローになりたかったけど、諦めなきゃいけないな。
まあ、もう、どうだっていいんだけど。
そのままふわりと意識を手放した。
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