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「勝己くん、腕痛いよ」
「あ、悪ぃ……」
歩くのも速いし腕をつかむ力だって強くて痛い。
強制的に止まって、どうしたのと彼の顔を覗き込んだ。
勝己くんは、ばつが悪そうに視線を逸らす。
「やっと分かり合えたと思ったのに……てめェは他の奴とばっかりいるから」
そう言い終えた勝己くんは、悪ぃかよコラとでも言いたげな顔をして私を見つめる。
――なんて可愛い理由なんだと思った。
あんなにツンツンして、デレの欠片すらなかったこの人は、デレるとこうなるのか。
はっきり言って、萌えた。きゅんって、こう、ね。
「大丈夫だよ、勝己くん。勝己くんは、ずーっと私だけでしょ??」
「おう、」
「私だって同じ! 勝己くんしかいないんだから心配しないで」
しかも相手は女の子だったし!
笑って、今度は私から勝己くんの腕を掴んで、ぶんぶんと上下に遊ぶ。
素直になるってやっぱり変わるんだな、って思った。
求める前に捕まえろ、だって確かにそうだ。
……だけど、偶には求めてみるのだってありじゃない?
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