油彩画パズル



まるで油彩画みたいに

幾つもを重ねていく




そっくりだろ?

記憶ってやつにさ




僕らは生きている間に

大きな大きな油彩画を

知らず知らずのうち

描き続けているんだ




でもね

どんなに誤魔化すことができても

消し去ることはできないんだよ




だから

息をしながら

こんなふうに あんなふうにって

たくさんのことを考えながら

失敗しないように

誤魔化せばなんとかなる程度に




しようとしているワケなんです




たとえば 僕が死ぬとき

それは たったひとつの油彩画が

一気に燃えてしまうときなんだ




その油彩画を

丸々とっておいてくれる人は

絶対にいないけど




所々

少しずつ

他の誰かがそれぞれの作品の中に

僕との事を描いてくれてるはずだから




そう それはもう

ジグソーパズルみたいにね




だから 最後の最期

僕の油彩画が完成したとき

それを見て 素晴らしいよって

思えるのは自分ひとりでいい




僕は

それでいいって思ってるんだ









- ナノ -