蒼ノ光



蒼く滲むような光

それに縋るように歩いては

屋根も壁もない闇を漂っていた




いつか誰かに見つけて欲しいなんて

酷く醜い願いを携えて




抜け出せないことは

もう分かっていた

自分に残された力は僅か




この手を掴んで欲しい

そっと引いて欲しい




無駄だ

そう言って僕の中の僕は笑っている




力無く肩からぶら下がるような二つの腕は

誰かを抱きしめるのには頼り無さ過ぎる




それでも

僕は抱きしめて欲しいと思うよ

疲れ果てたこの身体を

優しく強く

受け止めて欲しいと思う




その場に蹲り

か細い声を紡ぐ




ここに

僕が居るんです




闇の中に消えていく声を

見送りながら

僕は自分の存在を確かめるように

心臓の音へと耳を澄ませた




まだ

まだだ




僕はまだ

生きれてるよね




遠くで滲む蒼が

何度も瞬いた気がした










- ナノ -