憂いと悲しみのクッキー



午後三時を過ぎてから

憂いと悲しみを

丁寧に混ぜ込んで

焼き上げたクッキーを

澄ました顔で頬張るの




おいしいかどうかは

全く別の話だけど




鏡の前で溜め息ついて

浮かない顔してるより

マシな気分になれるわ




満腹感に眠気が差して

うとうとし始めたら

逆らわずに眠るの




夢の中へ行く前に

もしかしたら

泣いちゃうかもしれないけど

それでもいいわ明日には

忘れられるのならね




あなたにも

あなたにも

味わわせてあげたかったのよ?

甘いような 苦いような

柔かいような 堅いような

おいしいような まずいような

わたしの手作りクッキーを




でも残念

食べちゃった

だから無いの

もう無いの




だけどいつか

また会うときがあったなら

トクベツ皮肉めいた材料で

作ってあげてもいいけどね








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