ディスプレイ
こんなものが
僕と君を通ずるための
たった一つの手段だっていうの?
僕は君の表情が分からない。
君の体温も感じられない。
君から直接送られてきたわけじゃないんだって。
僕と君の間には目に見えない存在があって
そいつが僕に君からのゴシック体を送り届ける。
ただそれを読むってだけじゃ
全然分からないんだよ。
君は怒ってるの?
笑ってるの?
悲しんでるの?
寒がってるの?
暖まってるの?
知りたいことが多すぎるんだ。
でもさ
きっとこんなの僕だけでしょ?
君は別に大したことなんかなくって
僕の表情にも体温にも興味がないんでしょ?
それがやけに可笑しくて
ディスプレイから目を逸らし
僕はひとり、笑った。