学校/友達
『ぎんさん、おはよう!』
『…し、ん?』
『しんぱちだよ、わすれちゃった?』
こいつはそう、しんぱち。
おれがこのクラスにきて、はじめてはなしかけてくれた。
なぜか、おれのことをさんづけでよんでくる。
よびすてでもいいのにな?
『しんぱち、おはよう』
『うんうん!おはよう、ぎんさんっ』
きょうもしんぱちはメガネをかけている。
『ねえねえ、きょうはたいいくがあるけどもうでられるでしょ?』
『…たいいく…、』
『でるにきまってるアル!』
『あ、かぐらちゃん、おはよう!』
こいつは…。
かぐら、っていうおんなのこだ。
ことばのさいごに"アル"とか"ヨ"とか"ネ"とかつけてしゃべる、
なんだかかわったおんなのこだ。
たいいくにでたくなくて
きょうしつにかくれていたおれをひっぱって
グラウンドにつれていったのがこいつだった。
でも、そんなにいやじゃなかった。
なんとなく、たのしいようなきがした。
『ぎんちゃん、いっしょにたいいくでるアル』
おれのかおをじーっとみながら
そんなふうにいわれる。
『まあ、でてもいいよ』
したをむいたままへんじをすると
ふたりはかおをみあわせてわらった。
なんとなく、うれしいようなきがした。
チャイムがなって、ふたりはじぶんのせきにもどった。
たんにんのせんせいがこくばんのまえではなしをした。
いちじかんめはこくご。
おれは、そのじゅんびをつくえのうえにひろげて
まどのちかくのせきで、パパがしごとにまにあったかなんてかんがえた。
。。。