登校/出勤
『おーい、時間ねェから早くしろー!』
自分の支度をさっさと済ませ、未だに癖毛と戦闘しているのを待つ。
その声を聞き、諦めた様子で玄関まで駆けて来た。
『…これか』
横髪を手で梳かしてやり、ついでに頭をぽんぽん、とたたく。
『少しはマシになったな』
そう言って顔を覗くと、照れ臭そうに微笑んだ。
『やべェ、間に合わねえかもしれねェ…』
小さな身体をひょい、と持ち上げ自転車の後ろへ乗せると自分もサドルへと跨った。
『おい、すっ飛ばすからちゃんと掴まっとけよ』
こくんと頷いて、腰に腕を回ししがみ付く。
そして風に逆らうように、家を出た。
。。。