情報屋にもらったUSBの中にはそりゃあ沢山の甘い蜜が詰まっていた。あたしはその中から一つを選んで、妖精と怪物に垂らしてやった。
「あんたが平和島静雄だろ?」
「ぁあ゙?」
「良いからその金髪の美人なねーちゃん渡せよ」
「手間は、誰だ」
「そのねーちゃんにちょっと話があんだよ。昔ちーと仲間が世話になったからなぁ」
「…先輩は早急な退去を。私が対処を遂行しま、……す?」
ずいっと躍り出た妖精を止めて、怪物が守るように背の後ろへ促す。不思議そうに首を傾げる妖精に怪物はあたしが今まで見たこと無いような柔らかい表情で妖精に言った。
「お前は、俺が守ってやる」
「?…守護される意味、理解不能です。戦闘能力は上々、勝算はこちらに」
「鈍感だな、俺の大切な奴を傷つける奴がいんだから、俺が守るのは当たり前だろ?」
「ごちゃごちゃ言ってんじゃねぇええええッ!」
まぁ結果は目に見えて居たが、勿論喧嘩をふっかけた奴らは怪物に一掃されてしまった。あの怪我だ、何かしら報酬をプラスしなければいけないかな。
「大丈夫か?」
「……た、大切な奴との言葉、理解不能です。否、理解を拒否します」
「ヴァローナ、お前は俺が嫌い…か?いや…分かってんだ、こんな俺が好きだなんて迷惑だって、でも、好きだ」
「…っ、平和島静雄は、標的。私の戦闘経験向上と高揚感の鎮圧目的」
可愛らしく真っ赤に顔を染めながら目を泳がせ困る妖精を、クスクスと笑いながら怪物は愛しげに抱き締める。2つの段違いな丸がくっつくのに、時間はかからなかった。
あたしの中で何かが確実に傷んだ。ミシミシと音を立てて。
感じる絶望を彼への愛だからと愛しく思ってはいたけれど、あたしはそれ以上2人を見てはいられなかった。夜道を歩きながらあたしは柔らかく微笑み、妖精を抱き締めていた怪物を思い出した。あたしのスパイスは彼を確実に変えている。彼がぐちゃぐちゃになるまで、あともう少し。もう少し。
「第二任務に滞りなく突入。今後の指示を所望」
「おめでとう。沢山沢山優しくしてあげて?愛されてるって教えてあげて」
/
名前変換全然無くてごめんなさい