「昨夜はアルコール過剰摂取との報告、経過確認に来ました」

「…ぁ、はよ」



不意に目が覚めるとヴァローナが目の前に居た。割れそうに痛む頭を抱えながらゆっくり上半身を起こすと、ずいっとコップに入った水を出されて、それを大人しく飲んだ。喉を通って身体に染み渡る。幾分か頭痛が治まったのはすぐに気のせいで終わる。

俺は昨日…どうしたんだっけか。
記憶を頑張って辿ったがどうしても思い出せない。ちらつく人影が誰なのか、分からない。トムさんと飲み屋で別れて歩きだしたまでは覚えてる。だけどそれからが断片的過ぎて分からないのだ。

水を飲み終えたコップを床に置いて、俺は…脱ぎ散らかした服をヴァローナが拾い集めて洗濯機に向かう姿をぼんやり見つめた。それから自分の両手に視線を下ろす。何となく鼻に近付けると、厭らしい匂いがした。不意に小さく記憶が蘇ってくる。暗闇で女が泣いていて、俺は彼女に泣いて欲しくなくて必死に愛撫する。すると彼女は喘ぎながらも独りにしないでくれとまた泣いてしまう。俺はまた必死になる。そんな、記憶。未だに割れそうに痛む頭に思い浮かぶ傷ついた白い肢体。



「ヴァローナ」

「?」

「愛してる」

「…っ、同意です」



あれは、きっとこいつだ。違う。絶対に違う。

俺は邪念を払うようにヴァローナの綺麗なブロンドの髪を掻き分けて透き通るような白い首筋に唇を落とした。少し汗ばんだそこは花のような香りがして、いや、花なんかまともに嗅いだ事なんてガキの時ぐれぇだけど、俺の中に燻る熱情を掻き立てる。



“…独りにしないで、っ…”

“…分かってる、絶対しないからな。大丈夫だ

名無し ”



ヴァローナの身体が俺からの刺激に震えれば震える程に俺の中で罪悪感に似た感情が溢れて、自分から盛ったくせに手を止めてしまった。不思議そうに見上げてくる彼女を抱きしめて、もう一度自分に言い聞かせた。

俺は、ヴァローナを愛してる。
あれは、夢だ。夢なんだ。



“これは純愛だよ、”



あぁ、その通りだ。
俺とヴァローナの純愛っつーやつだ。
だから名無し、手前は引っ込んでろ。
うぜぇ。

あー、うぜぇ。

俺は彼女の柔らかい唇を求めた。












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ぷ、静雄ぷwww



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