感想 


9.夢幻神話
 2009/12/21 - 辛口感想
ジャンル:現代ファンタジー
長さ:長編(連載中)

第九章まで読ませていただきました。


いいかげんなあらすじ:
才色兼備な女子高生・井上明日香は、優秀だけれど不良な上級生・一ノ宮翔に『水の巫女』であると告げられる。
『闇』を封印するべく、明日香は翔たちとともに『妖』と戦うことになるが……。


登場人物の書き分けが甘く、キャラもあまり立っていないです。
また、心理描写が少ないため、感情移入しにくいです。
しかし、文章自体は読みやすく、戦闘シーンにもかなり力が入っているため、読み応えがあります。





ひたすらベタな現代異能バトルものです。
女の子が主人公ですが、バトルの比率がかなり高いため、少年漫画的な印象を受けました。

かなり「燃え」な要素の多い作品なのですが、なぜか全然燃えなかったです。
イベントも次々に起きる、退屈しなさそうな構成なのに、正直、あまりおもしろくないのです。

技術的には悪くないのに、なんでだろう……。
と、かなり考えて、「登場人物に感情移入しにくいから」という結論にいたりました。

まず、メインキャラクターが、みんな素直で真面目で「イイ子」すぎます。
頭のいい人物ばかりだから、読んでいてイラっとくることはないのですが、
性格にアクがなさすぎて、かえって印象に残りません。

また、明日香と千尋、翔と貴之の言動が被りがちで、人物の書き分けができていないようです。
さらに、登場が比較的遅めだった速人や薫については、あまりキャラが立っていませんでした。

キャラが書き分けられていない、あるいは立っていない一因としては、
心理描写の少なさが考えられます。

明日香の心の壁、千尋と速人の関係、薫の悩みなどが話題に挙がるたびに、唐突さを覚えました。
心情がほとんど描かれていないため、登場人物が抱えている感情を、共有することができないのです。
ゆえに、登場人物に感情移入しにくいのでしょう。

心理描写は圧倒的に足りていないのですが、情景描写や状況説明はしっかりと書き込まれています。
若干「――」を多用しすぎな気もしますが、文章自体は整っていて、流れも自然です。

設定にも、目立ったツッコミどころはありません。
「なんで古代日本なのに、神様の名前が西洋風なのか」
「『妖』はかなり派手に暴れているのに、さらに『妖』と戦う主人公たちの立ち回りも結構派手なのに、なぜ一般人に認知されていないのか」
「設定は壮大なのに、舞台の範囲が狭すぎる」
「属性の相性がかなり重要なのに、なぜもっと早く明日香や薫を探し出して、仲間を揃えてしまわなかったのか」
などの点が気になりましたが、適当に理由をつけて、説明できる程度のツッコミでしょう。

しかし、一部の設定が少しわかりにくかったかもしれません。
属性の相性でさえついて覚えきれていないのに、陽属性・陰属性の強さまで出てきて、
文字情報だけで作品のルールを理解するのは難しかったです。
そのため、戦略を読んでもなかなか頭に入ってきませんでした。


戦略を含め、戦闘シーンがしっかり書き込まれているため、かなり読み応えがあります。

文章や設定に安定感があるため、戦闘重視の異能バトル好きの方にオススメできそうな作品です。


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