感想 


41.猟奇少年と純愛少女
 2010/10/17 - 辛口感想
ジャンル:現代サイコホラー
長さ:長編?(連載中)

13話目まで読ませていただきました。


いいかげんなあらすじ:
内臓や死体に興奮してしまう性癖を持つ男子中学生・榊原慎一。
榊原は性欲を満たすため、近所の野良猫を惨殺するようになる。
クラスメイトの北村は、そんな榊原の本性を知らぬまま恋をし、榊原に接近していくが……。


文章の粗さや若干のご都合主義が気になりましたが、おもしろかったです。
主人公がどんどん道を踏み外していくため、ストーリーに緊張感があり、続きが気になりました。
主役ふたりの考え方の違いも生かされています。





ホラー要素と恋愛要素がうまく絡み合っている作品です。
猟奇的表現に気合いが入っており、(物理的に)かなり痛い表現も含まれているのですが、中学生らしい素朴な恋愛が息抜きになっています。
ただ、その恋愛が原因で、危ない展開となっていますが……。

冒頭から主人公がフナを解剖して性的に興奮していたり、倫理的に問題のある行為が扱われていたりと、確実に好みがわかれそうな作風です。
猟奇系が好きなわけではないのですが、個人的にはとてもおもしろかったです。
センセーショナルな事件について、週刊誌を読んでいるときの「おもしろさ」に近いかもしれません。


先に、気になった点から挙げていきます。

文章については、視覚的な粗っぽさが一番目に付きました。
改行のタイミングや漢字変換の統一性のなさが原因だと考えられます。
また、似たような言葉の連続使用によるリズムの悪さも気になりました。

また、情景描写や背景描写が不足気味でした。
たとえば、冒頭で季節の描写がなかったため、マサト殺害(冬)に至るまでの時間の経過が、わかりづらかったです。

一方で、死体解体シーンはとても詳細に描かれています。
骨や血管の位置も考慮されているので、いい意味で気持ち悪いです。
ですが、最初にネコを殺したシーンは、出血量が多すぎるかもしれません。
また、ネコに本気で抵抗されたら、もっと傷だらけになりそうです。

ストーリーについては、若干ですがご都合主義な面がありました。
榊原のネコ殺しにしろ、マサト殺害にしろ、うまくことが運びすぎかもしれません。
おそらく、背景描写が不十分だったために、展開に対する「言い訳」も不足してしまったのだと考えられます。

北村については、榊原を好きになった理由に関してもう一押しほしかったです。
また、榊原だけではなく、北村の外見描写もほしかったです。


あれこれ気になった点を書いてみましたが、ストーリーに緊張感があって、とても楽しめました。
順調に道を踏み外していく榊原や、危険人物にどんどん近付いていく北村に、ハラハラされっぱなしでした。

榊原が一線を越えてしまったため、先を読むのが怖い一方で、続きが気になります。
破滅を予感させるストーリーから、目が離せません。

視点の切り替えも、効果的に利用されています。
まったくタイプの違う主役ふたりの考え方の違いが、浮き彫りになっていました。
また、榊原の異質さと北村と普通さの対比もおもしろいです。

キャラクターの造形もよかったです。
榊原は異常ですが、怖いもの見たさでつい観察してみたくなります。
また、榊原は自分の異常さを理解していたり、家庭環境に難があったりします。
そのため、まったく理解不能なタイプでもありません。

北村は普通の子ですが、一途だったり鈍感だったりと、ちゃんと個性があります。
榊原視点は榊原視点でおもしろいのですが、思考がまっとうな北村が視点のシーンはほっとします。

文章は粗いものの、下手に小綺麗な描写がない分、かえって生々しくもありました。
また、内面描写もていねいです。
とくに体感描写が書き込まれており、臨場感がありました。


人に勧めづらいのですが(特にネコ好きさんには)、個人的にはすごく気に入った作品です。


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