感想 ▽
31.your place
2010/08/09 - 辛口感想
ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:長編(連載中)
改訂版のepisode 03まで読ませていただきました。
いいかげんなあらすじ:
声を呪われ、声を発することを自ら禁じた少女・セイナ。
森で盗賊に襲われていたセイナは、謎の手によって伝説の森・ウィドリスへ引きずり込まれてしまう。
セイナはウィドリスの領主・シウに保護されるが……。
文章量が不足しており、設定についても引っかかる点が多いです。
そのため、作品の世界に入りづらかったです。
ストーリーは方向性がわからないのが難点ですが、起伏に富んでいるため、退屈はしませんでした。
きれいで正統派な少女向けファンタジーですが、少し暗めなのが特徴的です。
流され系の主人公はあまり好きではないのですが、セイナはいじらしくてかわいいです。
相手役のシウも、セイナに「様」付けさせたり、首輪を付けたりと、さりげなく変態的でおもしろいです。
設定やストーリーは、欠点があるなりに悪くはないです。
しかし、文章量が少なすぎて物語の世界に入りづらかったです。
物語の骨格はわかりやすく書かれているのですが、文章の肉付けが圧倒的に不足しています。
舞台背景は「鬱蒼とした森」程度のことしか書かれていないため、全然映像化できません。
また、人物の外見描写ももう少しほしかったです。
ほとんどの登場人物は、髪と瞳の色しか書かれていません。
その上、大まかな年齢さえもわからないため、まったくイメージが広がりませんでした。
心理描写も少ないです。
登場人物の内面がざっくりとしか書かれていないため、だれに感情移入していいのかわかりません。
また、視点が分散する神様視点で書かれているせいで、ますます人物の掘り下げ不足に陥っている可能性が考えられます。
描写だけではなく、説明も不足気味です。
人数が多いシーンでは、なにが起きているのか把握しづらかったです。
また、説明不足で流れが悪くなってしまっているシーンも、いくつかありました。
他には、世界観や登場人物の背景を、もったいぶらずにどんどん書いてほしかったです。
与えられた情報が少なすぎて、取っ付きづらい面がありました。
文章そのものは、読点が少なすぎるせいで、読みにくかったです。
設定は好みかつ興味深いのですが、引っかかる点が多かったです。
セイナに拒絶の声を上げられたら死ぬのに、シウはepisode 03でセイナに拒絶されかねない行動をとっています。
そもそも、声を上げただけで相手を殺してしまうセイナの呪いは、とても危険です。
なのに、シウの周辺の人間が、セイナに対してまったく危機感を抱いていないことが不思議です。
それに、なぜ登場人物のほとんどが、セイナに対して好意的なのでしょうか。
その他にも、設定面で気になる点はいろいろとありますが、文字数の都合で割愛させていただきます。
ストーリーについては、メインキャラクターの明確な目的がわからないため、方向性も不明です。
そのため、先の展開に期待しづらく、不安を覚えてしまいました。
しかし、起伏に富んだストーリーで、読んでいて退屈しませんでした。
また、イベント同士の繋ぎも自然です。
設定やストーリーには魅力があるので、文章量が増えれば、かなり楽しめそうな作品です。