感想 


26.アーティチョーク
 2010/07/02 - 辛口感想
ジャンル:海外風ミステリー
長さ:長編(完結)


いいかげんなあらすじ:
一九四五年、シチリア。
二つのマフィアによって支配されているコルレオーネ村で、二人の男が殺される。
仲間を殺されたマルクは復讐のために、マフィア幹部のレベッカはボスの命令で、それぞれ真犯人を探そうとする。


説明がとても多く、情報が整理されていないため、読みにくかったです。
また、登場人物の書き分けができていない印象を受けました。
しかし、話の軸がわかりやすく、時系列に乱れがないため、混乱せずに読めました。





冒頭でいきなり死体が転がっていたので、この作品がミステリー系なのは、すぐにわかりました。
しかし、マフィアものだったのは意外です。

マフィアというと、ラッキー・ルチアーノくらいしか知らなかったので、読んでいて勉強になりました。
けれども、あまりの説明の多さに、「この説明、読む意味あるのかな……」と、
げんなりとすることが多々ありました。

事件の真相には、マフィアに関する時代背景が絡んでいます。
したがって、背景の説明は不可欠だといえるでしょう。
ですが、あまりに情報量が多すぎて、一読しただけでは、内容を把握できないことが多かったです。

また、登場人物目線ではなく、作者目線で書かれている説明であるため、内容が全然頭に入ってきませんでした。
説明が説明のまま、描写や台詞と融合することなく書かれているため、イメージしにくいのです。

複数の登場人物の視点で書かれているのも、余計な情報が増ふえてしまった原因だと考えられます。
各キャラクターが知った・気付いた・考えたことが、結構重複して書かれているのです。
同じ情報を何回も読まされて、途中で飽きてしまいました。


説明が多すぎる一方で、書き込み不足な印象を受けました。
伏線はちゃんと張られているのでしょうが、ヴィートの動機など、いまいち説得力に欠けています。
背景や登場人物が掘り下げられていないため、全体的に薄っぺらいのです。

特に、登場人物の掘り下げ不足が顕著でした。
各人物がどんな性格なのか、最後まであまり把握できませんでした。
キャラクターの書き分けもできていません。
各人物の性格の違いが、全然表現されていないのです。

誰がしゃべっているのか、よくわからない台詞も多かったです。
さらに、なにが話題なのか、よくわからない会話や説明もありました。
よく主語が抜けることが、原因として考えられます。


また、誰一人、本気で犯人を探そうとしているようには見えませんでした。
起きた事件についてグダグダと考察したり、
十分な根拠もないのに誰かを犯人だと決めつけたり、やっぱり違うと確信したり……。
「死体発見」「身内を疑う」以外のイベントがほとんど起きない上に、謎を解こうとしている気配がないのです。
ゆえに、いくら読んでも先に進んでいる気がしませんでした。


読みにくい作品ではありますが、読んでいて混乱はしませんでした。
「犯人を探す」というストーリーの軸が早々に示されるため、物語の本筋を見失うことがないのです。
また、時系列に乱れがないのも、混乱せずに読めた理由でしょう。

実在の団体や人物が結構出てくるため、人によってはニヤリとできる作品かもしれません。


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