感想 


21.赤い日傘の女
 2010/04/29 - 辛口感想
ジャンル:現代
長さ:長編?(連載中)

『04.のたうつ幻想』まで読ませていただきました。


いいかげんなあらすじ:
俊孝の兄の葬式の3日後、義姉が失踪した。
数年後、残された甥の授業参観に行った俊孝は、帰り道で赤い日傘を持った女を目撃する。
その後、俊孝は「誘拐されたいとこを連れ戻しに行ってほしい」と、母親に頼まれる。


全体的にそっけなさすぎて、印象に残りにくかったです。
説明主体な文章が原因で、情景や人物像がイメージしにくいです。
ですが、散りばめられた小さな謎が、今後どのように繋がっていくのか、興味が持てます。





乾いた空気とミステリアスな雰囲気が両立しているのが、特徴的な作品です。
冒頭で謎(義姉の失踪)が提示されているため、ミステリーだと勝手に勘違いしてしまいまでした。

サイトの作品説明には「恋愛」と書かれていますが、今のところ恋愛要素はありません。
どのような恋愛模様が物語に絡んでくるのか、気になるところです。


作品の構成要素が、全体的にそっけなさすぎて、
ストーリーもキャラクターも、あまり印象に残りませんでした。

ストーリーの印象が薄かった原因としては、次の2点が考えられます。

まず、物語のつかみが弱いことが、原因として挙げられます。
この作品は、主人公の義姉が失踪した当時の状況説明から、物語が始まります。
特に珍しい事件ではないため、あまり興味の持てない冒頭です。
また、当時の主人公の心境もあまり描かれていないため、物語の世界に入りにくくもありました。

物語の牽引力が弱いのも、印象の薄さの原因の1つでしょう。
これは、4話目に差し掛かっても、ストーリーの方向性が示されないため、先の展開に期待できないのです。

また、主人公が事件やイベントに対して、なかなか自発的に動かないため、
物語の軸がどこにあるのか、よくわかりませんでした。
作者さまがなにを書きたいのか、なかなか見えてこないのです。


キャラクターの印象の薄さは、描写不足に起因すると考えられます。
登場人物がどんな調子で、どんな表情で喋っているのかわからないため、
そっけない印象になってしまっているのではないでしょうか。

もう一歩踏み込んだ心理描写も、必要だったと考えられます。
視点となる人物が、どうしてそんな気持ちになったのか、もう少し明確に書いてほしかったです。


文章は、あまり読みやすくなかったです。
おそらく、長すぎる文章が紛れ込んでいるからでしょう。
なかでも、読点が少なかったり、読点の位置が変な文章が、特に読みづらかったです。

また、前後の文章の内容が、微妙に繋がっていないことが、しばしばありました。
おそらく、意味の繋がらない文章間に、もう一〜二文挿入し、流れを整える必要があるのだと考えられます。
説明でも描写でも、因果関係のはっきりしない文章が目立つのが、少々気になりました。


つかみや印象の弱い作品ではありますが、小さな謎が散りばめられており、先の気になる作品でもあります。

麻子の失踪、赤い日傘の女、綾子の家出の真意など、
一見関連のなさそうな要素が、今後どのように繋がっていくのか、興味がわきました。


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