感想 


19.愛の行方〜Bluez of the Dictator〜
 2010/04/11 - 辛口感想
ジャンル:現代恋愛
長さ:長編(完結)


いいかげんなあらすじ:
女子大生のカヤは、見た目はいいけれど横柄で身勝手なオウタに、報われない恋をしていた。
恋人同士ではないけれど、それなりに安定していた2人の関係は、オウタの父親・イデの介入によって、一気に歪んでいく。


インパクトのある冒頭です。
しかし、主役が「他人」であったため、彼らの恋愛に興味が持てませんでした。
それなりに波乱はありますが、盛り上がりに欠けていたのが残念です。
好みが分かれそうな印象を受けました。





荒っぽい情事の名残と、
主人公の女の子が風呂に入っていたら、相手の男が包丁を持って現れた……
という冒頭は、インパクト絶大です。

初っぱなから、作品独自の色がしっかりと出ているので、
最初の10ページで、好みがハッキリとわかれそうな印象を受けました。

残念ながら、私には合いませんでした。
カヤにもオウタにも共感できず、また、好きなタイプでもなかったからです。
これは好みの問題なので、作品そのものの質とは関係ないです。


主役2人に共感できず、興味もわかなかったため、
最初から最後まで、カヤもオウタも「他人」でした。
他人が恋愛で悩んでいる話を聞かされても、
よっぽど特異的で刺激的な恋愛ではないかぎり、おもしろくありません。


カヤとオウタが互いに抱いている感情について、いまいち説得力に欠けていました。
そのため、物語に浸りきれなかった面がありました。

容姿+α(気の強さとか、たまに見せるやさしさとか)が、相手のことを好きになった理由なのでしょうが、
作中で語られているような、激しく深い愛を抱く理由としては、やや弱いです。

もう一歩深く心理描写がされていたら、登場人物への理解が深まり、主役に共感できたかもしれません。


主役に共感できなくても、波乱万丈なストーリーなら、ついつい読んでしまいます。
この作品にも、それなりに波乱の種(イデやアンナの件)は仕込まれています。
しかし、これらの波乱の種を生かし切れてなくて、ストーリーが盛り上がりに欠けていました。


また、基本的に人間は他人の不幸に興味を抱くそうです。
しかし、この作品は、主人公を襲う不幸が、物語の長さのわりにヌルかったです。

特にカヤ。
彼女は美人で友だちにも家庭環境にも恵まれています。
そんなカヤがロクでもない男に惚れて、とことん堕ちていく話だったら、それはそれでおもしろそうです。
しかし、オウタは案外、というか全然ロクでもなしではありませんですし、実はオウタもカヤに惚れています。
カヤはオウタに関してそれなりに悩んではいますが、決して不幸ではないのです。

逆に、オウタもハイスペックではありますが、イデやアンナのせいで、幸せではありません。
そのため、オウタ視点のほうが読んでいてハラハラするため、おもしろかったです。


文章については、いろいろと欠点はありますが、
特に、終盤の改行・改ページの多さが気になりました。

また、会話文では、なにについて話しているのか、よくわからないことがしばしばありました。


登場人物は個性的に描かれています。
そのため、キャラクターさえ合えば、ハマる人はとことんハマる作品なのではないでしょうか。


 |  | 




「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -