感想 


12.蒼宮中宮物語
 2010/01/24 - 辛口感想
ジャンル:歴史
長さ:長編(連載中)

第二章の#2まで読ませていただきました。


いいかげんなあらすじ:
平安時代に生きる姫たちの物語。
【蒼宮】東宮への入内が決まった姫。しかし、母親は姫を手放したがらなかった。
【葉桜女御】すでに入内した姫の物語。帝に愛されないことを不満に思った姫は、ある行動に出る。


全体的に描写や説明が不足しているため、イメージがわきづらかったです。
第一章は登場人物に感情移入ができなかったため、退屈でした。
一方、第二章は主人公が自発的に行動するため、今後の展開に期待できます。





古典と日本史の成績が壊滅的だった人間にも、すんなりと読めた作品です。
クセがなく、ライトな作風だからでしょうか。
『源氏物語』などで、一応触れたことのある時代の物語だからかもしれません。

しかし、「中宮」や「女御」、「中務卿」などの、
身分を表す用語がよくわからないため、物語の世界に浸れませんでした。
歴史には疎いため、身分や時代背景について、さりげない説明がほしかったです。

さらに、文章があらすじっぽいため、イメージがわきづらかったです。
全体的に、情報が不足しているのでしょう。

口調や表情などの人物描写は、比較丁寧です。
しかし、心理描写や情景描写が圧倒的に足りないため、
「小説を読んでいる」という実感が得られませんでした。

また、口調などの描写を行った後、文章を最後まで書ききらずに、セリフへと入る……
という手法が多く使われているため、少々手抜きっぽかったです。
さらに、このような表現は句点によって文章が完結していないため、日本語的に正しくない可能性があります。

あと、句読点が少ないせいで、文意が読み取りにくいことが、しばしばありました。
また、一文が長くなってしまったがために、主語と述語の関係がねじれてしまっている文章も見られました。

主語が省かれてしまっていて、なんの話をしているのかわからないことが多いことも気になりました。

いままで文章にばかり触れていたのは、ストーリーが印象に残らなかったからです。

第一章「蒼宮」はとにかく退屈でした。
ストーリーに起伏は存在しているため、登場人物に感情移入できなかったのが、退屈さの原因しょう。
登場人物の不安や涙がひとごとであるため、「ふーん」でという感想で済んでしまうのです。

感情移入できなかった原因としては、心理描写の不足に加えて、神視点であることが考えられます。
視点があちこちに飛ぶため、主要な登場人物の書き込みが足りないのです。

また、
・主人公(姫)が自発的に行動しているわけではない、要するにストーリーを引っ張る目的がない
・主要な人物に非がなさすぎてつまらない
などの原因も考えられます。


一方で、第二章「葉桜女房」はおもしろかったです。
先の展開が読めず、なにが起こるのか期待できるからです。

主人公である葉桜女房はわかりやすい欠点や不満を抱えており、それゆえに自発的な行動に出るからでしょう。

第一章と第二章との比較により、主人公に明確な目的があるだけで、
物語が一気に魅力的になることが、とてもよくわかりました。


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