感想 


10.Asperal-アスペラル-
 2009/12/27 - 辛口感想
ジャンル:異世界ファンタジー
長さ:長編(連載中)

第4幕まで読ませていただきました。


いいかげんなあらすじ:
孤児院で平穏な生活を送っていた少女・ロゼッタ。
17歳になる直前、ロゼッタはアルセル公国の騎士に「魔族」として連行される。
だが、魔族の国・アスペラルの人間に助けられ、アスペラルに向かうことになる。


冒頭の平凡さや、たまに視点が混ざるのが少し気になりました。
しかし、描写に過不足がなく、文章も安定しているため、とても読みやすいです。
女性向けらしい華やかさがある一方で、設定・ストーリーともに堅実な、質のいい作品です。





恋愛ファンタジーの定番をしっかりとおさえた、王道な少女小説です。
目新しい要素こそないのですが、ストーリー展開が興味深く、キャラクターにも魅力があるため、かなりおもしろいです。

しかし、よくできているからこそ、冒頭の平凡さが少し気になりました。
短いとはいえ、いきなり世界観の説明から入られると、変に身構えてしまいます。

村でのロゼッタの日常も、ありきたりすぎる気もしたのですが、
「様式美」の一言で済んでしまいそうです。
また、村でのロゼッタの姿が、後々の彼女の言動に説得力を与えているため、「悪い」ともいいきれません。

文章で気になった点は、たまに視点が混ざっていたことくらいでしょうか。

文章そのものは平易で整っていて、とても読みやすかったです。
また、描写・説明がていねいで、流れも自然でした。
台詞と地の文の比率も丁度よかったです。

設定面についても、ツッコミどころは特に見当たらず、安心して読めました。

今後説明がほしい要素としては、
・アスペラル王がロゼッタをアルセル公国の孤児院に預けた理由
・アスペラル身分制度、国王に仕える人間の雇用条件
・魔術が使える分、魔族は人間に対して圧倒的に有利にみえるけれど、人間の国が魔族に侵略されない理由
くらいでしょうか。

魔術の詳しい説明があったのは、非常にうれしかったです。
魔術を利用した様々な道具の解説によって、独自の文化・技術面にも触れられているのも、
異世界ファンタジーとしてポイント高いです。

戦闘シーンは少々ゲームっぽく感じましたが、違和感はありませんでした。

少々戦いの様子がキレイすぎるような気もしますが、
女性向けの作品で血なまぐさい描写をされても、読み手のニーズに合わないでしょう。

登場人物一人一人をしっかりと書いているため、他の人物からの評価と実際の人物像との間に、
イイ意味でギャップがないのも好感です。

各キャラクターとロゼッタとのエピソードも豊富なため、キャラもしっかりと立っていて、魅力的です。
登場人物が魅力的だからこそ、「最終的には誰とくっつくのか」という楽しみ方もできます。

他にも、王位継承権をめぐる争いの結末や、アスペラルとアルセル公国の不穏な関係など、
興味のひかれる要素が多いため、おもしろいのでしょう。

女性向けらしい華やかさがある一方で、設定やストーリーはとても堅実です。
しかし、トキメキも多分に含まれています。

恋愛ファンタジー好きの方に、安心してオススメできる良質な作品です。


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