*三回戦*
三回戦が始まってからだ。息も絶え絶えでアリーナを駆け回り始めたのは。 ほんの少しでも情報マトリクスを得る為に二人のありすの誘いに乗った。彼女達が望むように、アリーナでの鬼ごっこやかくれんぼに付き合っていた。それで、今日が三日目。 無邪気に走り回るありす達はふわふわの砂糖菓子のように可愛らしい。しかし息も絶え絶え、正に虫の息といった具合のトキワに二つの砂糖菓子を愛でる余裕など有りはしなかった。
三の月想海、第二層。第一層よりも複雑になったアリーナで、ありす達が鬼ごっこをしようと誘ってきた。 そして渋るキャスターを引っ付かんで誘いに乗れば思いの外キツいモノだった。 楽しそうにアリーナを走り回るありす達を追いかける。只でさえ少ない体力をがりがり消費し、僅かながらも魔力も消費していく。受け答えも出来ない程に息が切れ、がくがく震えた足はまともに立てず壁に寄りかかって座り込んでしまった。
「それは無い。あまりにも体力が無さ過ぎるだろう」
始まってから少しも経たない内に、へたり込んでしまったトキワにキャスターが信じられない、と言った具合に苦言を放った。それにトキワが答える事は出来ず、壁に額を預けながらぜえぜえと荒い息を整える事に専念していた。 それでも好き勝手言うキャスターが我慢ならず、反論しようと口を開けどまともな話は出来そうにない。
「……っそ、なこと、言われても……げほっ、これ……きっつ、」
「それにしたって、まだ始まってから少ししか走ってないじゃないか」
「ぜっ、でも、キツいものは、……っキツい……!」
「ああもう、わかったから喋るな」
心の底から呆れているキャスターは頭を抑えて深く溜め息を吐いた。
「あれ、お姉ちゃん大丈夫?」 「お姉ちゃんもう疲れちゃったの?」
トキワから離れた所で二人のありすがくすくす笑った。
「でも、お姉ちゃんが鬼だもの。頑張ってアリス(あたし)達を捕まえてくれないと」 「そうね、アリス(あたし)。お姉ちゃんが頑張ってくれないと、ありす(あたし)達は捕まらないものね」
鏡のように向かい合い、手を取り合う二人のありすはにこりと笑ってトキワを見た。 穢れなど一つも無い。純真無垢な二つの砂糖菓子は無邪気に遊びながらちょきんと首を落としにかかる。
「ほら、頑張って捕まえて、お姉ちゃん。まだ消えちゃダメだよ?お姉ちゃんが消えちゃったらありす(あたし)は悲しいの」 「そうね、ありす(あたし)。もっと頑張ってくれないと、消えちゃうわ。そしたらアリス(あたし)はつまらないの」
だから早く捕まえて、と愛らしく笑った二人のありすはひらりとドレスを翻しアリーナの奥深くへと消えていった。
ダメだ、力尽きた\(^o^)/
ハオ様inEXTRAB
2012/06/01 23:05 ( 0 )
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