悪の教典×OP OPサイド3 晨光学院町田高校2年4組。 去来川舞成り代わり。名前は去来川柊。 特殊ヒロイン。
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空は快晴。波も良好。絶好の航海日和だ。こんな日は旨い酒を飲める。
バカみたいな量の雑事が残っているがそれはもう諦めた。 元よりこの船は頭脳労働員というものが少ないのだ。 頭が回るような奴は大抵測量だの医療だのを知っている奴らで、そいつらは既にそれらを担当している。 金の収支だの、戦闘後の報告書だの各備品の調整だのは各自で行って、最終的にマルコの所へ持っていかれる。だからマルコは割と忙しいのが常だった。それに加えて偵察にも行くもんだから更に酷い。
別にそれが嫌ではない。なによりこれは《オヤジ》と慕う白ひげの為、大切な家族の為になる。が、それでもうず高く積まれた紙の束を見ればうんざりするのが人間ってもんだろう。
気分転換でもしようと外に出る。凝り固まった肩を鳴らして、思いの外大きな音が鳴った。
「よう、オヤジ」
「なんだァ、マルコ。疲れた顔しやがって」
目敏くマルコの表情を読み取った白ひげは困ったような顔で苦笑した。 この息子は些か頑張りすぎるきらいがある。良いところでもあるが、悪いところでもあるだろう。
今日は吹き抜ける潮風が気持ちいい。雲一つ無い晴天が青く広い海に映る。海と空の境界が曖昧で、ここまで青に染まり綺麗な海はそうそう無いだろう。 良い日だ。とても良い日だ。
こんな日は、身体を休めて旨い酒と飯を片手にのんびりしたってバチなんぞ当たらない。――そんな時。
「オ、オヤジイイイイイ!!空から女の子がああああああ!!」
麗らかな晴天と穏やかな海原の風情を台無しにするような、見張り番の叫び声が響いたのであった。
境界線の向こう側
2015/01/18 19:18 ( 0 )
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