悪の教典×OP 教典サイド1
晨光学院町田高校2年4組。 去来川舞成り代わり。名前は去来川柊。 特殊ヒロイン。
***
――気持ち悪い。あの男に触れられた感触が頭に残っていて酷く気分が悪い。
蓮実聖司という男はとても人気のある英語教師だ。 整った美貌とユニークで飽きさせない授業。生徒の抱える問題や学校のトラブルシューティングに熱心な姿勢で問題には一つ一つ真摯に向き合う。 高いコミュニケーション能力を活かした人間関係を築き上げ、清廉で潔白、しかしほんの少しの悪戯心を忘れない。
正に本の中からそのまま飛び出してきたような《理想の教師》を《演じる》男。 それが私立晨光町田2年4組の担任だった。イコール、去来川柊の担任教師。
柊は蓮実が怖くて気味が悪くて不快でおぞましくて大嫌いだ。周りの人間が持つ感情とは真逆に彼のことが大嫌いだ。 話すのも触れるのも、視界に入れることすら厭う程大嫌いだ。
蓮実聖司は羊の皮を被ったケダモノだ。他人と何かを共有できず、他人を搾取し捕食することしか出来ないケダモノだ。羊とは程遠い存在である癖に何食わぬ顔で――そして誰にも気付かれないように――羊の群れに混ざって搾取と捕食を繰り返す。 柊はこの羊の群れの中で他と変わらずただの羊に過ぎない。蓮実にとって搾取し、捕食する対象だ。 何時彼の隠された血塗れの牙にかかるのか、それは時間の問題だった。
遠くで見張るよりも、近くで見張ってあの男の動きを細かく把握し、予測していた方が安全であると柊は判断する。 恐る恐る遠くで見張り、細かい機敏に気付けずいつの間にか手遅れでした、なんて笑えない。
何より柊の容姿は目を引いた。所謂美少女の類いに入る柊は蓮実のお気に入りだった。 幼い時分より目立たないようにしていたが、晨光町田に入って柊は不幸にも蓮実に見つかった。それから蓮実のお気に入りの一人だ。 彼は面食いで、柊の他にも美少女達を侍らせている。それがESSの少女達。
蓮実以外にも化物を内包する晨光町田。柊にとって恐ろしくて恐ろしくて堪らない場所。
「……あー、イゾウさんにあいたい」
ESSに向かう途中、柏原と別れて階段の陰に隠れた。ぐったりと蹲ってぽつりと呟いた。
蓮実聖司がいる現の中
2014/11/04 12:45 ( 0 )
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