サーヴァントがキャス狐IF 後天的性転換
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――待ってほしい。これは、本当に、ちょっとでいいから待ってほしい。
華やかな桃色の髪。そこからぴょこんと生えた狐の耳。艶やかな藍色の着物をまとい、お尻からは頭の狐耳とお揃いの狐の尾。 それがトキワのサーヴァントであるキャスターだ。
私室に作られた座敷でかのサーヴァントは行儀よく正座して、ふわふわとした狐の尾はのんびりとゆらゆら揺れている。
「あ、おかえりなさいませ。ご主人様!」
体制はそのままに主を迎えたキャスターの声音 は語尾にハートが付いてしまいそうな位甘ったるい。
私室の扉を開けた状態で固まったトウドウトキワは思考する。
華やかな桃色の髪。そこからぴょこんと生えた狐の耳。艶やかな藍色の着物をまとい、お尻からは頭の狐耳とお揃いの狐の尾。 そしてメリハリのある《女性の身体》。
そうだ、トウドウトキワのサーヴァントは《女性》のキャスターである。 なのに今座敷で行儀よく正座しているキャスターは《男性》であった。
カラーリングはいつものキャスターと変わり無い。藍色の狩衣をまとい、桃色の髪は項の辺りで緩く結えられている。ふわふわの耳と尾はいつも通りのんびりと揺れていた。 扉の前で固まっている主を不審に思ったキャスターが前に立てば身長すらも伸びていることがわかった。声だって何トーンか下がっているが、男性にしては高い方なのかもしれない。
「ご主人様ー?びっくりしました?イケメンですか?惚れ直しちゃいました?」
うふふ、と喜色満面に笑うキャスターを愕然と《見上げた》。
「な、なんで、それ……!」
「前に行ったじゃないですか。私に性別などなあんの関係もないんですよ!!最初はですね、ご主人様が私の術でちょちょーっと変わっちゃったりすればいいかなーって思ってたんですけど。ご主人様はそのまんまがいっちばん素敵だって言うのはもうわかりきった世界の理って言うかー!そ・れ・に――」
唇同士が触れそうな程顔を近づけたキャスターは微笑む。傾国の美女とも呼ぶべき美貌が妖しく笑むその姿は魂を根刮ぎ抜かれてしまうかのような。
「こちらの方が色々と都合がいいと思いません?」
言外に言いたい事を察したトキワは熟れたトマトのように顔を赤らめ声にならない叫びを上げた。
お稲荷様と行く!
2013/11/23 01:30 ( 0 )
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