「トリックオァトリート…?」



静臨
side|シズちゃん
(!)微エロ/甘










今部屋にいる俺たち二人は、それぞれが独特な格好をしている。10月31日といえば大抵の人がわかるだろう。

俺は鋭い牙に耳と尻尾をつけた、つまり狼の格好。なんか変なかんじだ。特に牙の感覚に慣れない。
臨也はこれまた一部分だけの鋭い牙に、長いマントに身を包んでいる吸血鬼、別名ヴァンパイヤに仮装している。胸元の飾りの赤いリボンが白い肌によく映えていた。そして次第に実況中継していた奴が俺に近寄り、あの決まり文句を綴ってきた。

「シズちゃん!トリックオァトリート!」
「ん、ほらよ」

既に予想していた英単語だった。水を掬うように合わせて差し出された手の平に、用意していた色とりどりのキャンディを降らす。

「え」

お望み通り要望に応えてやったのに驚かれたんだが。いやいやこっちが「え」だっつーの。

「えってなんだよ。菓子やっただろ」
「いやシズちゃんのことだから、てっきり自分で食べたのかと思って…」

なにげ失礼な奴だなこいつ。俺はそんなに欲張りじゃねえんだよ。今日だけ。

「ハ、そりゃあ残念だったな。 それより手前、ちゃんとあげたから俺にイタズラされても文句はねえよなあ…?」
「へ…?ちょ、シズ……い゙、っあ!」

鋭利な牙で白い首筋に噛みつくと呻いた臨也。どうやら仮装といってもそれは高性能らしい。つくり出した傷を舐め上げると、大袈裟に体をびくつかせ誘うような声を漏らす。

「や…あっ、舐めんなバカ…!」

足が震え始めた臨也がかろうじて持っていたキャンディを奪い、左右両方の口をあけ口内に含んで相手のそれと唇を合わせた。

「あ、ん……ふっ」
「…っいざや」
「しずッん、んんン!」

コロコロと二つの舌を行き来する甘玉は、時間が経つにつれ体積を減らしていく。固体の感覚が消えても動きは止めず、互いを貪り続ける。牙同士が当たる所から微かな熱が生まれていくような気がした。

それから数分、流石に限界だろうと悟り頭を上げると、名残惜しく銀色の糸を引いた。しかしまだ甘さが残っていて、菓子のものか、はたまた臨也のものかわからない。

酸素を求めて胸を上下させる吸血鬼に口角が上がり、光沢で光を帯びた牙を見せた。










 「トリックオァトリート…?」










仮装をうまく生かせなかったっていうね!^^
こんな仕上がりですが少しでも楽しんでいただけたら幸いです…!



20101031




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蓮華の咲くころにの架夜さまからいただいてきました!
フリーにでろっでろに甘えまくってしまいました^p^
一枚上手な静雄素敵です…っ!

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