第3話





・臨也side





新入生代表の挨拶とは、中々に面倒くさいものだった。こんなことならもっと手を抜いて試験を受けるべきだったなぁ。と、内心で悪態を吐きながら俺は指定された教室へと足を運んだ。



彼が転校すると聞いた時、正直チャンスだと思った。追いかけて同じ高校に入れば、もしかしたら話すことが出来るかもしれない、と。え?ストーカーだって?違う違う。俺のはそんな犯罪行為じゃないよ失礼な。ただ、今このまま話したこともないまま彼と離れてしまったら。そう考えたら居ても立ってもいられなくなったのだ。


彼が東京の来神高校に入学するということは独自の情報網で調べた。それから、髪はバッサリと切って爽やかな印象の髪型にした。眼鏡もコンタクトに変えた。



彼は―――平和島静雄は気付くだろうか。気付かないだろうな。いや、絶対気付かない。何てったって話したことすらないのだから。




あぁ、楽しみだな。








クラス分けされた教室には一際目立つ金髪の彼がいた。同じクラスになったのは偶然ではなかったので驚くことはしなかった。偶然じゃないって言うのはまぁ、あれね。すこーしだけ先生にお願いしたら、快く同じクラスにしてくれたんだよ。ほんっと優しいよね。(笑)
むしろ驚いたのは、彼が俺の知っている彼ではなかったことだ。クラスの人間に話しかけられても基本が生返事。無愛想な態度。笑うとしてもそれは以前と違って苦笑や愛想笑いばかりだった。



……面白い。



何がどうして彼がこうなってしまったのかはわからないが、少なくとも俺は以前の彼より今の彼の方に惹かれた。こっちの方が余程"人間"らしい。追ってきて正解だった。

彼に愛想笑いを返された女子が彼の元を離れると同時に、俺はゆっくりと彼に近付いた。

あぁ、どうしよう。


「初めまして、平和島静雄君」



口許がにやけてしまってしょうがない。








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短い文でちまちまやっていく予定です
早速キャラが変わってきてしまった…!


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