03.泥棒つかまえました




03.泥棒つかまえました

・燐+しえみ+志摩+勝呂+子猫丸+出雲





「あれ?おかしいな、ちゃんとここに入れておいたはずなのに…」

「どうしたしえみ?探し物か?」

「あ、燐…。今朝ね、たくさんクッキーを焼いたから皆にもお裾分けしようと思って持ってきてたんだけど…」

「無ぇのか?」

「うん…。ちゃんと朝風呂敷に包んできたのに…」

「杜山さんどないしはったん?」

「しえみの作ったクッキーが無くなっちまったんだとよ」

「えぇ!?杜山さんの手作りクッキー!?一大事やん!ちょぉ、坊も子猫さんも来てくださいよ!」

「何や騒々しい」

「どうかしはったんですか?」

「名付けて、杜山さんの手作りクッキー紛失事件や!」

「えっ!そ、そんな大ごとじゃないよ。もしかしたら私の勘違いで、家に忘れてきちゃったのかもしれないし」

「何を言うてはるんや杜山さん!これは立派な事件でっせ!」

「志摩、お前はいっぺん黙れ。やかましいわ」

「とにかくもう一度探してみようぜ。俺達も手伝うからよ」

「皆…ありがとう!」




「うーん…見つかりまへんなぁ…」

「もしかしたら僕らが実技の授業で教室を空けている間に誰かが入りはったんやないやろか?」

「でも、一体誰がそないなこと…」

「キャァァアア!」

「っ!この声、神木さん…!?」

「廊下の方からやな!」

「どうした!まろまゆ!」

「ね、ねね、猫ちゃ…じゃなくて、猫が倒れて…っ!」

「あ?猫…?って、おい!クロじゃねぇか!しっかりしろ!」

「ほんまや、奥村君とこのクロやないですか!でも何でこないなとこに倒れてはるんや…?」

「おい、ここに仰山散らばってるこれ…」

「あっ!これ、私のクッキーだ!」

「「「「……え、」」」」

「クロ、お腹空いてたのかな…それで私のクッキーを見つけて…」

「……なぁ、奥村君」

「……んだよ」

「もしかしてもしかするとクロが倒れたんて…」

「それ以上言うな、クロの口の端についていたクッキーの欠片なんて俺は見てねぇからな」

「せやかて、クロ白目剥いてますやん…恐るべき殺傷力でっせこれは…!」

「ば、バカ野郎!いいんだよ!事件は無事に解決した。クロはその解決のための尊い犠牲となっただけだ!」

「ちょっ!クロは奥村君の使い魔やないん!?ええの?そんな扱いでええの!?」

「……今晩はクロの好きなものを作って俺がフォローしておくからよ、とりあえず今は」



「「しえみ(杜山さん)!泥棒、つかまえたぜ(ました)!」」




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お題配布元『確かに恋だった


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