01.丁重にお断りします




01.丁重にお断りします

・雪燐





「かき氷機ってどこにしまったっけ」

「厨房にないの?」

「んー…探したけど無ぇんだよ」

「兄さんって昔から探し物するの下手だよね」

「わ、忘れちまうんだからしょうがねぇだろ!」

「失くしたら真っ先に僕に聞いてくるし」

「だって雪男に聞けば大抵のものは出てくんだもんよぉ」

「兄さんの行動パターンは分かりやすいからね。ちょっと考えればわかるよ」

「えぇー…なんかキモいな、お前」

「…ふーん。それがいつも探し物を見つけてもらってる相手に対する態度なんだ?」

「うわぁっ!?ちょっ、それは…っ!分かった!謝るからその手に持っている物を今すぐ離せ!」

「ほんっと懲りないよね。いい加減口でも力でも僕に勝てないってことを学習してもおかしくない頃だと思うんだけど」

「ごめん!本当にごめん!俺が悪かったって!だからその油性マジックを離してくれ雪男!」

「駄目だよ。すぐに物を失くしちゃう兄さんには直接体に教え込まないと」

「だからって何でマウントポジションでシャツをめくり上げる必要が…って、待て!何でマジックをこっち向けんだよ!?」

「何でって…僕が普段物を失くさないようにってやっている方法を身をもって教えてあげようと思って」

「嫌だ!離せ!変態ホクロ眼鏡!」

「あぁ、もう!大人しくしてってば、」


パシッ(眼鏡に燐の手が当たる音)


「あっ、」


カシャン(眼鏡が床に叩きつけられる音)


「え、」


ピシッ(眼鏡にひびが入る音)


「「……………」」

「…や、あの、雪男君…?」

「……大人しくしろっつってんだろ」

「………はい」




「うん、これでよし」

「うぅ…何で油性で書くかな…せめて水性にしてくれてもよかったんじゃねぇの」

「何言ってんの。水性だとすぐに消えちゃうでしょ。それに、これでもしものことがあっても僕のとこに戻ってこられるし」

「俺はお前の所有物じゃねぇぞ!?」

「さて、それはどうかな」

「…ったく、だからって普通実の兄の腹に自分の名前書くかぁ?」

「それ以前に僕と兄さんがただの兄弟関係だけじゃないっていうことをお忘れなく」

「お兄ちゃん、もうお婿に行けない…」

「大丈夫。行かせるつもりは毛頭ないから。いっそのこと僕のお嫁さんになってよ」


「っ、丁重にお断りします!!」




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お題配布元『確かに恋だった


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