11.名前忘れた




11.名前忘れた

・雪男+燐




「よし!これで買うモンは全部だな!」

「あ、兄さんあれ買わないと」

「?あれって何だよ」

「だからあれ…えぇっと…あれだよあれ!!!」

「何でキレ気味!?あれじゃわかんねーって」

「イメージは頭の中にあるのに名前が出てこなくてイライラする…っ!!」

「そんな焦って思い出そうとするからだろ」

「兄さんも察してよ!」

「無茶言うな!!」

「一緒に使うものなんだから…ほらあれ……ほらっ…!!」

「ちょっ、やめろって!なんか俺までもやもやしてきたじゃねーか!」

「兄さんもそろそろ買わないとストックがないって言ってたじゃない!」

「俺そんなこと言ったっけ……いや、でも、言われてみればなんかそれっぽいこと言ったような…!!」

「でしょ!?なんだっけなぁ…こういうのって帰ってから思い出すから嫌なんだよ」

「一度戻ってからもっかい来るのってすんげーメンドくせぇぞ…」

「そう思ってるなら兄さんも思い出すの手伝って」

「ええええ…俺とお前が使うもんだろー…?」

「普段ならなんなく思い出せるのに…!」

「っだあああ気持ち悪ィィイ」

「ていうか、こんなに時間をかけて思い出すようなものでもないような…」

「…………ああああああああ!!!!」

「兄さんうるさい!!店の人睨んでるよ!!」

「思い出した!!!」

「えっほんとに!?」

「歯ブラシだ!!!」

「………そうだっけ?」

「えっ…違ぇの!?」

「うん、違う気がする」

「えええええ…もう歯ブラシ買って帰ろうぜ…疲れた」

「もうちょっと粘ってよ」

「んなに言うならお前も思い出してみろよ!」

「今やってるって………あっ!!!」

「思い出したのか!?」

「お麩(ふ)だ…」

「お麩(ふ)……ああああああ!!!」

「だからうるさいって!!」

「そうだ!そうだよ!味噌汁作んのにもう無いんだった!!」

「今度からはちゃんとメモとっておこうね」

「あー…すっきりした」




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お題配布元『確かに恋だった


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