10.逃げようとしてる?



10.逃げようとしてる?

・雪男+燐




「おい、どこ行くんだバカ兄」

「ちょっ、ちょっとトイレに…」

「兄さんは1時間の間に一体何回トイレに行けば気が済むわけ。頻尿なの?」

「ちっげええええよ!!出るもんは出るんだからしょうがねぇだろ!」

「じゃあさっきはどこのトイレまで行こうとしてたの」

「う゛…そ、それは……」

「僕が後をつけてなかったら外に行こうとしてたよね」

「……してねぇ、よっ…」

「本当に?じゃあどこに行こうとしてたの?逃げようとしていたんじゃないんだよね?」

「…コ、コンビニの…」

「ないとは思うけど、コンビニまでトイレを借りに行こうとしていましたなんて見え見えな嘘を吐くのだけはやめろよ?」

「………ゴメンナサイ……」

「はぁ……いい?困るのは兄さんなんだからね。冬休みがなくなってもいいなら話は別だけど」

「よくねぇよ!俺だって流石にヤベェとは思ってるよ!!」

「じゃあ勉強しろよ!!何で僕が兄さんの家庭教師をやらされているのかわかってるよね!?」

「それはお前が出木杉てこまる君だからだろ!もうちょっとバカになれよ!!」

「おい、それ本気で言ってんのか」

「嘘です…ゴメンナサイ……」

「わかったら早く机に戻れ。今日はもう絶対に逃がさないから覚悟してね」

「お前自分のはやらなくていいのかよ…」

「僕の分はもうとっくに終わっているし塾のプリントや教材の整理もひと段落ついてるから安心して。今日は奥村君専属の家庭教師ですのでそのつもりで」

(あれ、教師モード入った…!?)

「何か言いたいことでもあるんですか?」

「なんでもない、です…」

「はい。じゃあここの問題をやってみてください」

「…ハイ」

「……あぁ、ここ間違っていますよ。このパターンはよく引っ掛け問題として出題されるので注意してください」

「…はい」

「…………あ、それとここも。これは一見すると難しく見えますがテキストの解き方を参考にゆっくり解いてみるといいでしょう」

「……なぁ、」

「何ですか?奥村君」

「その先生口調やめね?なんかやりづれぇ」

「えっ?何が?」

「お前塾と同じ話し方になってたぞ。俺それあんま好きじゃねぇからやめろよ」

「うそ…気付かなかった…」

「職業病ってやつじゃね、それ」

「そんな…っ!?別に困るようなことじゃないけど無意識のうちに切り替わってた自分が怖い…!」

「しょうがねぇよ!それってつまり雪男がそれだけ先生になりきってるっていう証拠じゃね?なっ?そう落ち込むなって!」

「兄さん…」

「よっし!んじゃ俺が休憩がてらにホットミルクでも作ってきてやっから待ってろ!」

「……………おい、ちょっと待て」

「…………はい?」

「逃げるな、戻れ」

「…………ハイ…」


********


お題配布元『確かに恋だった

- 11 -


[*前] | [次#]






( prev : top : next )


「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -