09.保護者ですから




09.保護者ですから

・雪男と燐と藤本神父
・中学生時代





「ゆーきーおっ!」

「!!…なんだ神父さんか。まだ起きてたの?」

「燐かと思ったか?」

「兄さんならそこのベッドで寝て……って、あれ?いない…」

「燐は俺と入れ違いに出てったぞ」

「え、うそ…全然気づかなかった」

「お前はいつも涼しい顔して何でもこなすのが普通って思われてるんだろうけどさ、何も努力せずにそんなことが出来るような人間なんている方がおかしいもんな」

「神父さん…?…わっ、ちょっと!頭撫でないでよ!」

「はっはっは!いーじゃねぇの!雪男は頑張りすぎだぞ。もうちょい燐みてぇに抜けてても…っと、燐レベルってのはちょっと言い過ぎたな」

「…僕なら大丈夫。ありがとう、神父さん。祓魔師になるって決めたのは僕だし、正十字学園に入学するって決めたのも僕だ。それに、医者になりたいっていう夢も諦めたつもりはないからね。たまにしんどいとは思うけど、後悔はしてないよ」

「……そうか。でもな、俺にとっちゃお前はいつまでも子供なんだ。つらくなったらいつでも言っていいんだぞ」

「神父さん……!」

「そしたら俺特選のエッチな本見せてやるから!な!俺特選は凄ぇぞー!」

「………………」

「なっ…!雪男が俺に流し目、だと…!?」

「……はぁ…仮にも聖騎士という人が…」

「ゆきおー、夜食作ったんだけど食うか…おぉい!?ジジィいたのか!?」

「んだようっせぇな!デケェ声出すんじゃねぇ!あとジジィって呼ぶな!!はぁ…昔はあんなに可愛かったのにな」

「うっせぇぇえ!!昔の話はすんな!!」

「ちょっと二人ともうるさい!!今何時だと思ってるの!?」

「「…ごめんなさい」」

「まったく……で、兄さん何の用だっけ?」

「あ…そうだよ!ほい、雪男が勉強頑張ってたからおにぎりの差し入れ」

「わぁ…!ありがとう!具は何?」

「あんま凝ったもんは作れなかったから、おかかと梅。他に欲しいもんとかあるか?」

「燐……」

「んだよ。食いたいっつっても駄目だぞ!これは雪男の夜食だかんな!」

「なんだかんだ言ってもお前お兄ちゃんなんだな〜!!」

「ぬおおおおっ!!?頭撫でんな!!キメェッ!!」

「キモい!?燐お前…反抗期か!?」

「はぁ!!?俺がいつハンコーキになったんだよ!!」

(漢字わかってないんだろうなあ…)

「お前が反抗期ってことは…まさか雪男!お前も反抗期なのか!?」

「どうしてそうなるわけ…」

「双子だから」

「……………」

「……いや、それあんま関係なくね?」

「さーて!オチもついたところでそろそろ俺は寝るわ」

(逃げた…)

(逃げたな…)

「ん?何だその目は。何か言いたげだな」

「いいから早く寝ろよ!不規則な生活してっとボケんぞ」

「まだ現役だっつーの!!…んじゃ、おやすみ」

「うん。おやすみ、神父さん」

「…おやすみ」


ばたん


「そんじゃ、俺も寝よっかなー」

「ちょっと待って兄さん」

「ん?なんだよ」

「おにぎりありがとう。助かるよ」

「!!……おう。あんま無理すんなよ」

「ふふっ、兄さん照れないでよ」

「照れてねぇっ!!」

「でも耳赤いよ」

「〜っ!!!」

「あははっ!今更隠しても無駄だって」

「お前っ!意地悪いぞ!!」

「ごめんってば、そんなに怒らないでよ」

「もう知らん!お前のおにぎり食ってやる!」

「あーっ!やめてよ!!それ僕のだって!!」

「ハグッ!…〜〜っ!!?」

「…梅干が当たったんだね。勢いよく食べるから」

「ぶはっ!!…はぁーはぁー……し、死ぬかと思った…!!」

「あぁもう言わんこっちゃない…。大丈夫?背中さすってあげようか?」

「い、いいっ!もう寝る!」

「え、食べたんなら歯ぐらい磨けば」

「いーよ、俺今まで虫歯になんかなったことねぇもん」

「そうやって気を抜いてると痛い目見るよ」

「いいっつーの。それよりお前勉強はいいのか?明日だって早ぇんだろ?」

「僕は大丈夫だよ。もう少ししたら終わるつもりだし」

「そっか……なぁ、雪男」

「なに?」

「お前、正十字学園に行ったらさ…」「?」

「……やっぱなんでもねぇ!おやすみ」

「言い逃げ!?気になるからやめてよ!」

「うっせぇな!うるさくすると怒られっぞ!」

「兄さんに正論を言われるとなんかイラッとする」

「やっぱお前もハンコーキなんじゃねぇの?」

「反抗期、ね。あと違うから。兄さんと一緒にしないでよ」


ごろん(寝返り)


「その割にはお前、嬉しそうな顔してんぞ」

「えっ…」

「兄ちゃんはお前のセーヘキについてとやかく言うつもりはねぇけどよ…今の流れからしてまさかお前マz」

「違うから」

「んん……寝転んでたら眠くなってきた…」

「いまいち腑に落ちない寝落ちだな…。おやすみ、兄さん」

「んー………おやすみ……」

「…神父さん」

「!!」

「おやすみなさい」

「…おう。早く寝ろよ」

「うん、ありがとう。……さてと、」



「頑張ろう」




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お題配布元『確かに恋だった


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