ずるいずるい



・雪→燐
・会話文のみです





「雪男ってずりぃ」

「何が」

「だって俺より先に祓魔師になっちまってさ。その上、学校では成績優秀でエリート街道まっしぐらのモテモテホクロメガネだしよ」

「黙れよ。でも、いつの間にか背も追い抜いちゃったね」

「背は関係ねぇだろっ!」

「おかしいな。頭は兄さんの方が断然軽いから背は伸びると思ったんだけど」

「どういう意味だコラ!俺がお前の分までアイス食べちまったのまだ怒ってんのか!?」

「まさか。僕は兄さんみたいに後先考えずにアイスを二個食いしたりなんてしないからね。あ、ミネラルウォーターを性懲りもなくまた買い忘れたことも怒ってないよ」

「めちゃめちゃ根に持ってんじゃねぇか陰湿ホクロ眼鏡」

「で?」

「あ?」

「だから、僕の何がずるいのかって話」

「え、あぁ、そのこと…」

「人に話ふっといて忘れないでよ」

「忘れてねぇよ!ちょっと記憶がかすんでただけだ!」

「それを忘れてたっていうの。ほら、さっさと話してよ。じゃないと僕も作業に集中できないでしょ」

「あー…うん、まぁ、そう、だな…」

「なに、そんなに言いよどむようなことなの?」

「んー……や、やっぱこの話はなし!」

「途中で止めないでよ、余計気になるじゃん」

「…言っても笑わねぇ?」

「うん」

「…怒ったりもしねぇ?」

「うん」

「………雪男は、その……しえみに目ハートにされてんじゃん…」

「…は?」

「だっ、だから言っただろ?ずりぃよ!同じ双子なのにお前だけモテんのはずりぃしおかしい!」

「……はぁ。前にも言ったけど、ハートになんかされてないから」

「モテんのは否定しねぇんだな」

「兄さんだってモテないってことはないと思うけど?」

「んだよ、慰めてるつもりか?」

「いや、本当のことなんだけど。…兄さんはもっと周りの人の気持ちに敏感になった方がいいと思う」

「敏感?」

「…やっぱり今のままでいいや」

「どういう意味だ!」

「こればっかりは教えられないかな。勉強なら教えてあげれるけど」

「それは…いらねぇ」

「ところで兄さん、昨日出した課題終わったの?提出期限明日だけど」

「……………」

「……兄さん、」

「やるって!今からやろうと思ってたところなんだってば!」

「そう。分からないところがあれば教えてあげるから声かけてね」

「お、おう…」



(まったく、どっちがずるいんだか)






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